押し寄せるイワシの大群目当てに動物たちが大集合…カモメ、ワシ、トド、アザラシにキツネ、そして人も!
現代ビジネスでもお馴染みの自然写真家・佐藤圭さんが暮らす留萌管内は、北海道の北、日本海に面する地域です。 【画像】大量のイワシ目当てに集まる動物たちの「圧巻の光景」 その留萌の海にあまり見かけることのないイワシの大群が現れました。水温10度以上の海に生息するイワシがなぜこんな寒い海に現れたとなると、地球温暖化が心配になりますが、魚を食する動物たちにとっては降って沸いた幸運だったようです。
イワシが多すぎて海面を歩けそう
2024年4月初旬、北海道の留萌港にイワシの大群が押し寄せました。海面を歩けるのではないかというほどの大群です。この光景には、長年留萌で漁をやっている漁師さんも目を丸くしていました。 港には埠頭を埋めつくすほどの釣り人が集まり、釣っても釣っても釣りきれないほどの釣果に、皆、笑顔と活気に溢れていました。私も釣って刺身やナメロウにして食べましたが、脂がのっていてとても美味しかったです。 釣り人の次に集まったのは海鳥のカモメです。例年3月には繁殖地へ渡って行きますが、大好物のイワシが食べ放題ともなると渡るのを忘れてしまっているようです。 私も生まれてから約40年、留萌の海を見ていますが、これほどのカモメが集まった光景を見るのは初めてです。数万羽はいたと思います。もう一生見られないかもしれないので、毎日、撮影に励みました。 カモメは種類が多く、野鳥の中では見分けるのが一番難しいと言われています。誤同定しかねないので、総称してカモメ(北海道弁ではゴメ)と呼ぶことにしています。 ただ、その中にひと際目立つカモメがいました。 頭が真っ黒なのでズグロカモメかな? と思いましたが、くちばしが赤黒いのでユリカモメと判断しました。ズグロは嘴も黒いのです。ユリカモメも留萌では、なかなか見ることのできないカモメなので、連日、撮影できてうれしかったですね。 体が小さくて目が可愛く魅力的です。鳴き声はギャーギャーと少しうるさいのが難点ですが……。 これだけのお祭り騒ぎになると、空の王者オジロワシも黙っていません。 カモメを襲うこともありますが、この日は海に簡単に捕まえられるイワシが溢れています。果敢に海に飛び込み、どんどん捕まえていました。 普段、オジロワシが上空に現れると、カモメは一斉に逃げますが、オジロワシが獲物を捕まえると武器の爪が使えなくなるので、よってたかってオジロワシを追い立てていました。 野生動物の賢さに感心しながら、しばらく見とれていました。