孤立しがちな神棚もかわいく飾る。
「半地下の物件で、高い位置に窓が付いていたので、ちょうどいいなと思って神棚にしてみたんです」 かっこいい部屋には、必ずかっこいい一角がある。
デザイナーのしさんの仕事場には、作業机の向かいの壁、スタイリストの長谷川昭雄さんにもらったカレンダーの上の小窓に神棚が設けてある。玄関からキッチンを抜け、階段を下りた半地下のスペースが仕事場になっているため、小窓があるのはちょうど地上付近。程よく光が入り、なんだか神々しい。実はお札は2枚あって、背面に代々木八幡宮、手前に伊勢神宮のお札を重ねてある。あくまで自己流ながら、敬意をもって飾っている。
「代々木八幡宮では年に一回お札を新調して、月の初めにお参りに行くと決めています。信心深いわけではないですがルーティンのようなものでしょうか」
お札の周りには、張り子や郷土玩具が並べてある。小さな鳥は福岡太宰府の銘菓「うその餅」のオマケ「木うそ」。目を引くのは幡ヶ谷の『ブルペン』が山形県酒田市の『はりこま屋』に別注した野球ボール型の張り子だ。一つひとつ絵筆で顔を描き入れ、表情はすべて異なる。神棚というと神様を讃える静謐な存在と捉えがちだが、こんなふうに飾ると、土着の祝祭感も加わって賑々しい。おのずと気分も高まる気がする。
インフォメーション
し アパレルブランドやショップなどにアートワークやデザインを提供し、知る人ぞ知るソワソワ系グラフィックデザイナー。〈ALWAYTH〉などにも関わる。 photo: Hiroshi Nakamura, text: Neo Iida(2024年3月 923号初出)
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