ヘッジファンド、トランプ氏勝利について再考-ドル下落に賭ける
(ブルームバーグ): 予断を許さない米大統領選の情勢が一部のヘッジファンドを、カマラ・ハリス氏が大統領に選出された場合のドル安の恩恵を受ける通貨オプションへと追いやった。
これまで共和党候補のドナルド・トランプ氏の勝利が確実視されていたアイオワ州の世論調査が接戦を示したことで、レバレッジファンドは選挙結果について再考を迫られ、4日にはドルに強気のポジションを一部解消した。
複数のトレーダーによると、民主党候補のハリス氏が勝利した場合に米ドルが下落するとみてユーロとオーストラリア・ドルのコールオプションを購入する動きも見られた。
「為替オプションを通じてドル相場の反転を捉えようと、ヘッジファンド業界では主に豪ドルとユーロに対してドル安を狙う動きが見られる」と、バークレイズ・バンクのアジア為替オプション責任者ムクンド・ダガ氏(シンガポール在勤)が述べた。同氏によると、世論調査結果を受けて1週間から1カ月後が満期の豪ドルのコールスプレッドオプションが人気化した。
トレーダーらは選挙結果を受けて市場が不安定になる可能性に備え、接戦に対する投資戦略の最終調整を行っている。ブルームバーグのドル指数は、投資家が5日の投票での勝者について再考したため、4日に8月以来の大幅下落となった。
「トランプ氏が勝利した場合、ドルは3%上昇する可能性がある。一方、ハリス氏勝利の場合、ドルは2%ほど下落する可能性がある」と、シティグループのダニエル・トボン氏を含むストラテジストはリポートで指摘している。
3000億ドル(約45兆7000億円)を超える通貨オプション市場でのポジションもドル指数と同様のトレンドを示している。4日の米証券保管振替機構(DTCC)における11月満期のユーロ・ドルのコールオプション取引は、プットオプション取引の2.5倍以上だった。このポジションは、ユーロ高ドル安の傾向が強まれば利益が出る。
オーストラリア・ドルでも同様の傾向が見られ、11月満期の取引ではコールとプットの比率がおよそ2.5対1となっていることがDTCCのデータで示された。