【ボクシング】元世界王者の谷口将隆が引退示唆「世界前哨戦」流血打撃戦も惜敗「甘い世界では」
<プロボクシング:IBF世界ライトフライ級2位決定&東洋太平洋同級タイトルマッチ12回戦>◇15日◇大阪・HOS住吉スポーツセンター 元WBO世界ミニマム級王者谷口将隆(30=ワタナベ)が「世界前哨戦」で惜敗した。IBF世界2位の座も懸け、東洋太平洋同ライトフライ級王者タノンサック・シムシー(24=タイ)に挑戦したが、1-2の僅差判定負けを喫した。眉間から流血しながら強打を誇る王者と最後まで打ち合ったものの、競り負けた。勝てば世界2階級制覇に向け、大きく前進する大事なリングで勝ちきれず、現役引退を示唆した。 ◇ ◇ ◇ 僅差の判定で敗れた谷口は納得したように心境を口にした。「挑戦者なので(ポイントを)取り切らないと。スッキリしていますね」。IBF同級ランキングではタノンサックが4位、谷口が7位に入っており、IBF2位決定戦も設定。勝てば世界2位となり、世界2階級制覇に向けて大きく前進する大事なリングで強打を誇る王者タノンサックに競り負けた。 サウスポーの谷口は1回に左ボディー、2回には左ストレートをヒットさせて先行。4回以降はタノンサックによる接近戦に手を焼きながらも、左ストレート、左右の4連打で応戦した。11回、眉間カットで流血しながらも果敢に右フックを当て、ボディー攻撃を織り交ぜて競り合ったが、結果は判定負けだった。 ライトフライ級転向後3連勝で迎えた「世界前哨戦」だった。今年から指導を受ける小口忠寛トレーナー(55)とのタッグを組んだ。「(前担当の)伯耆(淳)さんにはうまさを教えてもらい、小口さんから強さを教わっている。タノンサック選手の嫌がる展開をつくりたい」と手応えがあった。もともと技術に定評がある谷口だったが「思ったよりもうまかった。細かいうまさ、それを上回れなかった。ボディーの感触はあったが、はらをくくって追えなかった」と反省した。 進退を問われると、引退を示唆した。「陣営がこの後を思い描いてくれていて答えられなかったのが心残り。2階級目は周囲のため、後輩のため、応援してくれる人のため、世界を取りたかったですけど。負けてすぐチャンスがもらえるほど甘い世界ではない。ある程度の(結論は)出ている」と心境を口にした。所属ジムの渡辺均会長(74)は「ドローぐらいかと思ったが。ボクサーは終わってすぐはそういう(引退示唆)ことが多い。また時間を置いて話す」と時間をかけて結論を出す方向性を示した。【藤中栄二】 ◆谷口将隆(たにぐち・まさたか)1994年(平6)1月19日、兵庫・神戸市生まれ。中学1年でボクシングを始め、神戸一高、龍谷大でボクシング部に所属。アマ戦績55勝(16KO)19敗。16年4月にプロデビューし、17年4月の日本ミニマム級王座決定戦、同11月の東洋太平洋同級王座決定戦で、いずれも判定負け。18年11月にタイでWBOアジアパシフィック同級王座獲得。19年2月にWBO世界同級王者サルダールに判定負け。20年12月に日本同級王座獲得。21年12月にWBO世界同級王座を獲得。初防衛成功後の23年1月に王座陥落。身長162センチの左ボクサーファイター。