MetaのAI、最大の利用者はインド。5億人のAIユーザーを抱えるインドAI市場
問題解決にかかる膨大な費用と時間
この問題解決には、インドのローカルデータでの学習をさせるだけでも膨大な時間と費用が掛かるという見方もある。 WhatsAppのユーザー数は5億超とは言え、問題は量だけではない。インドには22の言語が憲法上の指定言語として定められているのだ。公用語はヒンディー語であるが、ヒンディー語話者数は人口の約44%にとどまっている。こうした多民族、多宗教、多言語、かつ莫大な人口を抱える市場での成功に、まずは言語の適用が求められるだろう。となると、インドが抱えるローカルデータが必要となる。インドが乗り気の今、各企業が進出しAI学習を進めていくチャンスであることは確かだ。 AIの安全性とイノベーションのバランスを世界中が模索している中で、インド政府の比較的ライトな規制へのアプローチにも注目が集まっている。先進国がリスクに固執するあまりに、自国の発展が妨げられることに抵抗感を抱く、グローバルサウス各国の共感も得られると見られている。 潜在的リスクやデータのプライバシーにうすうす気づきながらも、AIの領域で大きく弾みをつけたいインド。AI業界で先にインドを制覇するのはどのモデルか、そしてこの国のAI戦略はどう進むのか、インドがいつ規制を強化してしまうのか。その行方を世界中が注視している。
文:伊勢本ゆかり/編集:岡徳之(Livit)