38歳・1児の母がフィットモデルでマスターズ世界一に ビキニから転向したのは「自分の身体が嫌になったから」
12月17日(火)から19日(木)の3日間、東京・有明コロシアムで『IFBB 世界フィットネス選手権&男子ワールドカップ』が開催されている。2日目となる18日(水)は、フィットモデルのマスターズから行われた。 【写真】志村陽香選手の「人魚姫のような」スイムスーツ姿
「この日のために、3年ぶりに復帰を決意したんです」 フィットモデルマスターズで優勝を飾り、晴れやかな表情でそう話すのは志村陽香(しむら・はるか/38)選手だ。サロン経営を行いながら、8歳の子供を育てているシングルマザー。ステージ復帰は3年ぶりだが、この舞台に立っていない時期でもトレーニングは欠かさなかったという。 「今年、世界大会が日本で行われると聞いて、絶対に出たいと思いました。週に2日のトレーニングは欠かさずしていたので、減量幅も2~3キロ程度。それほど大会に向けた身体づくりに苦労はありませんでした。ただ、舞台上の魅せ方・ポージングの修正には苦戦しましたね。3年前は他団体でビキニ選手として出ていたので、その癖を抜くのが難しくて」 ビキニ選手からフィットモデルに転向へのきっかけを伺ってみると、「自分の身体が嫌になってしまって」という思いがけない言葉が出てきた。 「ビキニを着用するにあたり、しっかりと筋肉の凹凸を見せるために減量が必要になります。減量を進め、絞れていく自分の身体が好きではなくなってしまって。なので一時期、ステージから離れていました。そんな時にフィットモデルというカテゴリーを知り、自分の好きなちょうどいい身体だったこと、そしてコスチュームをドレスとスイムスーツの2種類を着てみたくて挑戦しました」 東京選手権、そして9月の『JBBFオールジャパンフィットモデル選手権』で優勝を果たし、世界への切符を手に入れた志村選手。自分の好きな身体でステージに立ち、今年の目標にしていた世界の舞台に挑戦できたこと。そしてマスターズで優勝できたことに「素直に嬉しい」と言葉を紡いでいた志村選手の表情が少し曇った。 「一般の部でも優勝したかった」 少し悔いは残るものの、復帰1年目で大きな功績を残したことが間違いない。ステージ上のマーメイドは来年、どんな姿を見せてくれるだろうか。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:小笠拡子 撮影:中原義史