日本広告審査機構が「苦情の50年史」公開、媒体1位はどう入れ替わってきた?【JARO調べ】
日本広告審査機構(JARO)は、寄せられた苦情を取りまとめた「苦情の50年史」を公開した。設立50周年を記念し、広告・表示に対する消費者の声と各年度のトピックスから構成されたWebコンテンツとなっている。
苦情にも安定と急増の波あり
「苦情の50年史」では、50年間の世相とあわせ、苦情の件数推移のほか、各年の業種別件数、媒体別件数、広告・表示に関する意見の傾向や実際の意見などが公開されている。 JAROは、1974年度8月末から事務局業務を開始。初年度は半年ほどの期間で受付件数は54件。消費者を誤解させるような「うそ・大げさ・まぎらわしい」広告の苦情が多くを占めた。その後、受付件数がじょじょに増加していく。2017年度に1万件を超え、直近の2023年度は10,874件だった。なお50年間累計では25万9,587件の苦情が寄せられている。
各年度の媒体1位は、設立からしばらく「新聞」が続くが、1990年度に「テレビ」が新聞を超え、1993年度から「折込」も急増する。2003年度以降は「テレビ」の1位が続いていたが、2019年度に「インターネット」が1位となった。
1974~1983年度は体制確立期で、第1次・第2次オイルショック、激しい物価高騰、環境問題などが起こり、消費者運動も活発化した。この期間のJAROの受付状況は、条件等の不表示や誇大な表示など消費者を誤認させる不動産、人事募集、健康食品、通信販売などの苦情が多かった。 1984~2003年度は苦情伸長期で、求人や内職の募集に見せかけ弱みにつけ込んで金銭をだまし取ろうという詐欺的な手口が横行。そしてインターネットの普及が始まり電子商取引(EC)が本格化していった。 2004~2013年度は苦情安定期で、2011年3月の東日本大震災により多くの企業がCMを自粛。「団体CMがしつこい」との声が多数寄せられる一方で、根拠なく放射性物質への効果をうたった商品の苦情も見られたという。
そして2014~2023年度はネット苦情急増期で、2019年度は前年度比42%増、翌2020年度は36%増と苦情が急増した。なお2021年度には一転減少し、その後はインターネットとテレビの苦情件数は同水準となっている。