新トレンド“カウボーイ・コア”の実態 ビヨンセの新アルバムやファレルの「ルイ・ヴィトン」など多様化するウエスタン文化
数年前からファッショントレンドであるカウボーイブーツやデニムなどのウエスタンウエア。人気急上昇の背景には何があるのだろうか。分析会社やウエスタン・ウエアブランドに話を聞き、米「WWD」が“カウボーイ・コア”の全貌に迫った。
何が人々をウエスタンへと掻き立てるのか
消費者行動の調査会社、サーカナ(Circana)の消費者追跡データによると、米国ではウエスタンブーツの23年の売上総額は8億8850万ドル(約1341億6350万円)で、19年に比べ30%増加した。
ウエスタン小売店「ブーツ・バーン(BOOT BARN)」のクリエイティブ・ディレクター兼マーケティング担当バイス・プレジデントのイシャ・ニコル(Isha Nicole)は、「私たちが今生きている、ものの動きが速いハイテク社会への反応」だと考える。「テクノロジー、過剰な刺激、懐疑主義が急増し続ける中、“素朴さ”は憧れの自己表現、またゴールとして浸透し続けていくだろう。ウエスタンファッションは、アメリカのカウボーイの精神である“縛られない自由”、“粘り強さ”、“反抗の魂”を象徴している」と彼女は語る。
1975年以来、イタリアでウエスタンブーツを作り続けている「エル・ヴァケロ(EL VAQUERO)」社のニコラス・ジュントーリ(Nicholas Giuntoli)最高経営責任者は、“カウボーイ・コア”の魅力はウエスタン文化とファッションの機能性にあると考えている。「時代を超越した品質とクラフツマンシップ、つまりウエスタンウエアの中核をなす品質に対する評価が高まっている」と彼は言う。
高級ブランド「パリ・テキサス(PARI TEXAS)」の創設者でクリエイティブ・ディレクターのアナマリア・ブリビオ(Annamaria Brivio)にとってウエスタンブーツの魅力は、靴が本来持っている汎用性の高さだと言う。ウエスタンウエアは“季節を超えた”ものであって、“いつでも着ることができる”スタイルなのだ。