既に退去のテナントは困惑 東京の「一等地ビル」が建て替え計画“9年間延期” 解体から一転…リニューアル再開へ
東京の一等地にある巨大ビルをめぐり戸惑いが広がっている。 東京・五反田の「TOCビル」が建て替え計画を発表し、2024年3月までにテナントが退去したが、閉館直後の4月9日に建て替え計画を約9年間延期、リニューアルして再開する考えを示した。 【画像】2021年に建て替えの計画が発表されたが…
五反田「TOCビル」が建て替え計画を延期
「イット!」取材班が向かってみると、フェンスが設置されシャッターが降りていた。 建物に近づいてみると、ガラスが茶色く汚れてしまっていて、もう人が立ち入ることはできなくなっていた。 JR五反田駅近くの「TOCビル」。 かつては飲食店やアパレルショップなど多くの店が入っていた。 “廃墟”のようになっている理由は、二転三転した建て替え計画。 入居していた業者は困惑を隠せない。 株式会社荒井家具店 管理人・十河順一さん: えーっていう感じ。(建て替えが延期されるのを知っていたら)間違いなくいたと思います。 今から54年前の1970年にオープンした「TOCビル」。 都内最大級の商業施設として、多くの人でにぎわった。 1987年のリポート: 東京・五反田のTOCで開催されております、初夢工場に来ております。ご覧ください、この熱気。まるで原宿の竹下通りのにぎわいです。 しかし、築50年以上たった2021年、30階建ての新しいビルに建て替えることを発表。 2024年3月までに、テナントとして入っていたすべての店などが退去した。
ビル側「より高収益化を目指し計画を見直し」
ところが、閉館直後の4月9日、ビル側が突然、建て替えを9年ほど延期すると発表、今の建物をリニューアルし再開させる考えを示したのだ。 この発表に、立ち退いた業者は…。 株式会社荒井家具店 管理人・十河順一さん: ええっていう感じで、もうびっくりしました。「3月末までに退去をしてください」というお話でしたので、本当にもう建て替えるんだなと、まったく疑ってもおりませんでして。 こちらの家具店は約5年前にショールームを設けたが、2024年1月に退去した。 多額の移転費用がかかったほか、家賃も上がったという。 株式会社荒井家具店 管理人・十河順一さん: まあ最初から分かってるんであれば、ここに移ってくることもなかった。クーラーだけでも500万円ぐらいはかかってるんで。 ビル側は、建て替えを延期した理由について、「昨今の建築費高騰およびビル賃貸市況に鑑み、より高収益化を目指し計画の見直しを行うこととしました」とコメントしている。 不動産コンサルタントの長嶋修氏は「この3年間余りの間で、建築費はおよそ3割上昇しています。今後さらに人件費の上昇が見込まれるので、おそらくその当初の収益計画に見合わなくなってきた」とみている。 長嶋氏によると、工事費の上昇と人手不足で建て替えを延期するビルが増えるのではないかという。 (「イット!」5月24日放送より)
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