富士山と宗教(1) 北麓の地の火祭りの夜、大松明の前で祈る人々
信仰の対象としての富士山
上吉田の通りの大松明はますます燃え盛り、燃える大松明を縫うように観光客など大勢の人たちが炎の熱を浴びながら歩いている。沿道にはたくさんの出店が並び、祭りのムードを盛り上げている。 吉田の火祭り、鎮火祭は、北口本宮冨士浅間神社と同神社と同じ敷地にある摂社の諏訪神社の祭礼。多くの神社の祭りがそうであるように神輿の渡御が行われ、神輿は市中を練り歩いて神社に戻ってくる。 その北口本宮冨士浅間神社の境内には、富士講の碑や講社の名前が入った鐘など富士講に関わるものが数多く見られる。北口本宮冨士浅間神社と富士講はどのような関係にあるのだろうか?そして、富士講とはどのような宗教、信仰なのだろうか? ◇ 2013年6月26日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)がカンボジアの首都プノンペンで開催した世界遺産委員会で、富士山は世界文化遺産になった。富士山の世界文化遺産の正式な登録名は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」。つまり、信仰の対象である富士山と芸術の源泉としての富士山が世界の文化として遺産登録されたのだ。しかし、信仰の対象としての富士山とは?富士山信仰とは何か?富士山をめぐる宗教を追う。