不正受給、無銭飲食…「防衛省」相次ぐ不祥事で自衛隊員ら大量処分 一体何が起こった? 専門家が解説
◆潜水手当の不正受給 組織の“慣習”になっていたか
吉田:2つ目の「潜水手当の不正受給」。こちらは、どんな不祥事でしょうか? 塚越:こちらは遭難した潜水艦を救助する潜水士が、実際は訓練で潜っていないのにもかかわらず潜水手当を受け取っており、不正受給総額がおよそ4,300万円になったというものです。 処分された潜水士は計74人で、免職や減給などの処分が下されました。潜水艦救難艦の搭乗員の多数が不正に関わったとのことです。なかには1,500時間も潜水時間を偽って、およそ200万円を不正に受け取った隊員もいました。手当は潜水する深さに応じても金額が変わり、水深400mだと1時間1万円となります。こうした距離の水増しなどもあったということです。 問題はこれが誰か1人の問題ではなく、組織として習慣化していたことです。架空訓練のでっちあげは潜水士のまとめ役の「潜水員長」という人も、その上司にあたる「潜水長」も不正を黙認していました。上司も黙認していたということで、潜水士らは内部調査の聞き取りに対して「ダメだと分かっていたけど先輩がやっていたので踏襲した」と述べました。海事の調査は記録が残っている2017年4月以降ということですが、もっと前から不正が常態化していた可能性もあります。
◆同僚に見える形で罵倒 パワハラも問題に
ユージ:3つ目の基地内で不正に飲食物を受け取った問題。4つ目の防衛官僚によるパワーハラスメント。これらはそれぞれどういった問題でしょうか? 塚越:3つ目の不正に飲食物を受け取ったという問題についてです。基地内に住んでいる人だけが無料で食べられる食事があるのですが、自衛隊の3つの食堂で2020年4月~2022年2月の間に、無料の対象ではない22人の隊員が不正に食べたということです。その金額の合計が160万円に上るということで、これはアウトですよね。 4つ目が防衛官僚のパワハラで、“背広組”と呼ばれる政策立案などをおこなう内部部局の幹部3人が懲戒処分になりました。例えば、主要幹部の方々が部下に「チンプンカンプンで理解不能」などと書いたメールを送りました。同僚にも見える形で送ったということで、かなり威圧的だと問題になりました。