飼い主に見捨てられ、象のような皮膚をかきむしっていた柴犬が”笑顔”になった瞬間
アレルギー除去食で回復したのに
捨てられた、あるいは迷子になっている犬猫を見かけたら、まず何をすべきか。 「動物愛護センター、市役所や警察署、保健所などに連絡を取ることです。迷子の可能性もあるので、近所の動物病院などにも声をかけるといいと思います」 【写真】どことなく不安そうだった保護犬”ふうちゃん”の顔つきが変わった理由は こう答えるのは、東京、千葉、福島を中心に、動物の保護活動を行っている坂上知枝さんだ。 2020年に設立した一般社団法人動物支援団体「ワタシニデキルコト」の代表を務め、現在、シェルターを併設した動物病院の設立を準備している。 これまで坂上さんが出会い、保護した犬猫とのエピソードを語ってもらう連載の後編。 前編「ひどい皮膚炎で捨てられ、衰弱した柴犬。回復するまで献身した保護主が「別れを決めた」理由」では、一般の保護主から相談があり、坂上さんが保護することになった、メスの柴犬、ふうちゃんについてお伝えした。 「やせ細って酷い皮膚の状態で衰弱して倒れていたところ保護されました。全身が象のような皮膚で、毛もほとんど生えておらず、犬種もわからないほどの状態だったそうですが、のちに最初の預かりさんが遺伝子検査をしたところ、100パーセント柴犬ということでした」ひどい皮膚炎で捨てられ、衰弱した柴犬。回復するまで献身した保護主が「別れを決めた」理由 保護主の献身でふうちゃんは回復したが、健康を取り戻し、生活の場を、「療養中のみ」と限定で認められていた室内から庭に移したとたん、再び重い皮膚炎を発症した。 ふうちゃんは病院での検査で30種類ものアレルゲンが発見され、保護主は可能な限りのアレルギー除去食を与えるなどして気を付けていたが、ふうちゃんの皮膚はイネ系の草にも強いアレルギーがあり、保護主の家の周囲にはその草がたくさん生えていたのだ。
皮膚は象のように黒ずみ、血が滲み
ふうちゃんを保護し、献身的に世話してきた保護主だったが、「自分たちでできる限りのことをやって、どうしようもなくて、ワタデキに連絡してきたのだと思います。状況を伺い、これ以上、保護主さんのところで飼育するのは難しいと判断し、私たちで引き受けることを決めました」と坂上さんは言う。 こうしてふうちゃんは、ワタデキにやってきた。 少し前に、その保護主が保護したという、こちらも捨てられた子猫と一緒に。 「初めて会ったふうちゃんは、最初に相談を受けて写真で見た時よりも、さらに症状が悪化していました。1日中、体を掻き続けていて、皮膚は象のように固く黒ずみ血が滲んでいるような状態です。耳も腫れていて、中は膿んでいるようでした」 坂上さんたちはすぐに皮膚科専門医を受診し、治療方針を立てる。 「投薬の他、アレルゲンを完全に除去した食餌を与え、オゾンバスとクレンジングシャンプーを行い、保湿スプレーを付けるようにしました。散歩時には服を着用し、花粉などを浴びないように気を配りました」 坂上さんたちの努力の結果、「皮膚は回復。耳も目の周りもキレイになり、体を掻くこともほとんどなくなりました」。 「ふうちゃんはどっしり構えた性格。家でのんびりしているのが好きなようです。ドッグランや公園でも動じることなくマイペース。自分のご飯を奪われるのは嫌がりますが、おやつタイムに、ほかの仔から押されたり横から取られたりしても気にしません。神経質なところはなく、他の犬たちにもすぐに受け入れられるタイプです」