更年期の睡眠トラブルの改善には、ホルモン「メラトニン」をいかに働かせるかがカギ【40代・50代、知れば知るほどおもしろい!ホルモンの世界⑥】
それから、メラトニンを作るには材料となるトリプトファンが必要で、これは体内では作ることができない必須アミノ酸なので、食品からとる必要があります。トリプトファンは、卵や肉、魚、豆腐や納豆などの大豆製品、チーズやヨーグルトなどの乳製品、アーモンドなどのナッツ類などのほか、バナナ、ごまなどに多く含まれています。これらの食品を意識してとりましょう」
睡眠の質を高めるには「コルチゾール」も上手にコントロールを
また、睡眠に関係するもうひとつのホルモンが、この連載の4回目<疲れを解消するにはストレスホルモン「コルチゾール」を上手にコントロールすることが不可欠>でご紹介した“ストレスホルモン”「コルチゾール」なのだとか。このホルモンがどのように睡眠とかかわっているのだろうか。 「コルチゾールは目覚めを司るホルモンで、深夜から明け方にかけて分泌が増え、血糖値や血圧を高めて起床の準備をします。規則正しい生活をしていると、起きる1~2時間前からコルチゾールが分泌され、自然と気持ちよく目覚めることができます。でも、不規則な生活をしているとコルチゾールが分泌される時間も乱れ、全身に行き渡らないまま起きることになり、目覚めが悪くなってしまいます。これを防ぐために、起きる時間をいつも一定にし、規則正しい生活を心がけることがおすすめです。 また、ストレスが長期的にかかると、コルチゾールが慢性的に高い状態になり、寝つきを悪くするなど睡眠トラブルの原因になります。寝る前はなるべくストレスの原因になることを考えないようにし、自分なりのストレス解消法を見つけるなどストレスケアを心がけることも大切です」 睡眠トラブルが増えやすい更年期だが、ふたつのホルモンを正しく分泌させることで睡眠の質を高めることはできるので、ぜひ実践を。
【教えてくれたのは】 工藤孝文さん 内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。専門は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたり、テレビ・ラジオなどのメディアで医療の最新情報を発信。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。 写真/Shutterstock 取材・原文/和田美穂
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