ミレニアム、好敵手のシタデル追う-リスク抑え商品取引強化
(ブルームバーグ): 巨大ヘッジファンドのミレニアム・マネジメントは、好敵手の1社であるシタデルがコモディティー取引からうらやましいほどの利益を上げるのを何年も見てきた。
シタデルは2022年には約80億ドル(約1兆2500億円)を稼いだが、同社に対抗したいミレニアムはゴールドマン・サックス・グループの花形エネルギートレーダーだったアンソニー・ディウェル氏を採用し、商品部門の責任者に昨年起用した。
39歳のディウェル氏には、ミレニアムのコモディティー事業をシタデルの強力なライバルに変えるという使命が与えられたが、事情に詳しい関係者によれば、それを完全にやり遂げるために必要な裁量を持つことはできなかったという。
就任から約1年半、ディウェル氏はミレニアムのコモディティー事業を独立した部門として仕切り直すことに成功。トレーダーが例えば銅と原油の市場を行き来するのではなく、それぞれ一つの市場に特化するようにした。
刷新された商品デスクのリターンは安定しているが、シタデルが得ているような巨額の利益はまだ生み出せていない。それは、ミレニアムの創業者イジー・イングランダー氏が、潜在的な損失額を抑えるために厳しい一線を設けてるからだと、この戦略に詳しい関係者は言う。
長いサイクルと高いボラティリティーが特徴のコモディティーの常識は、大きな利益を得るにはリスクを取る必要があるというものだ。
ミレニアムとシタデルの現・元従業員や両社の戦略や活動について説明を受けた人々によると、シタデルのコモディティー部門が優位に立てるのは、大きなリスクを取ることをいとわないからだ。
「シタデルでは、最終的に正しいかどうかが重要だ。ミレニアムでは、間違う前に正しくなければならない」と、CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニアエネルギートレーダー、レベッカ・バビン氏は言う。ミレニアムとシタデルは、それぞれの戦略についてコメントを控えた。