ミレニアム、好敵手のシタデル追う-リスク抑え商品取引強化
「ポッドショップ」
多くの点で、この2つのヘッジファンド運用会社は驚くほど似ている。1989年に設立されたミレニアムは約640億ドルを運用。90年にケン・グリフィン氏が始めたシタデルの運用規模は約630億ドルだ。
LCHインベストメンツの推計によれば、マルチマネジャーファンドにとって困難な年だった2023年、両社は業界トップクラスのパフォーマンスを上げた。
ミレニアムもシタデルも複数のチームを抱えるいわゆる「ポッドショップ」としてファンドを設定している。
個々のトレーディングチームに運用資金を提供する戦略で、その報酬の高さは有名だ。ヘッジファンド創業者を対象にブルームバーグがまとめた直近の報酬ランキングで、イングランダー氏はグリフィン氏を僅差で抑えてトップに立った。ほとんどのヘッジファンドと同様、両社とも非常に秘密主義だ。
しかし、コモディティーのパフォーマンスに関してはシタデルが抜きんでている。22年に主に電力と天然ガスの売買で記録的なパフォーマンスを上げた後、昨年はコモディティー事業で40億ドル以上を稼いだ。
ミレニアムの商品セクターでの利益は約6億ドルで安定している。単純な利益比較は、各社がコモディティー取引にどれだけの資本を投入したかを考慮していないため、必ずしもすべてを物語るものではないが、イングランダー氏の考えをよく知る人々によると、同氏はこの差を縮めようと決意している。
ミレニアムは通常、「ハード・ドローダウン・リミット」を設けている。例えば、あるポッドが10億ドルの資産を監督している場合、5000万ドルまでの損失が許容されるという具合だ。
損失の上限を超えた運用者はポジション解消を求められ、時には解雇されることもあると関係者は話す。一方、シタデルの戦略に詳しい関係者によれば、グリフィン氏とコモディティー部門トップのセバスチャン・バラック氏は、ポジションに十分な根拠があり、よく調査されている限り、トレーダーがリスクを取ることに対してより寛容だという。