ミレニアム、好敵手のシタデル追う-リスク抑え商品取引強化
もう一つの違いとして、ミレニアムはシタデルのように商品の現物を輸送・保管する能力を持つマーチャントトレーディング部門を運営していない。
シタデルは14年にエネルギーマーケティング部門を設置し、現在では北米最大級の天然ガスの現物ビジネスを展開している。
現物市場に足がかりを持つことで、企業は現実の需給に関する貴重な洞察を得ることができる。
シタデルの成功は、他のヘッジファンドが現物サイドに足を踏み入れるきっかけとなった。バリアズニー・アセット・マネジメントは、デンマークでガスと電力の現物取引を行う部門を設けようとしている。このような事業をスタートさせるには、規制当局の追加認可の取得から、パイプラインスペースの確保や貯蔵タンクなどの資産の購入で多額の費用がかかる。
超高ボラティリティー
商品相場のボラティリティーが鮮明に戻ってきたことで、金融各社はほぼ10年間ほとんど人気がなかったこのセクターに資金を再配分した。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がもたらした需要の混乱は大きな影響を与え、20年4月には原油価格が一時、ゼロを下回るマイナス圏内に入り、ディウェル氏がエネルギーデスク共同責任者を務めていたゴールドマンは大きな利益を得た。
それ以来、気候災害の悪化がさまざまな農産物を直撃し、ロシアのウクライナ侵攻が天然ガスや穀物に衝撃を与えるなど、原材料の動きは劇的だった。トレーダーは最近、高インフレの長期化に対するヘッジとしてコモディティーに投資するようになった。
これら全てがリターンを急増させ、コモディティートレーダーは22年に記録的な利益を確保し、23年も通常よりもはるかに高い利益を上げた。
今年はオレンジジュースからスズに至るまで、原材料が2桁台の上昇率を記録した。ココアは1-3月(第1四半期)だけで倍以上に値上がりした。それでも、コモディティーの大きな変動を受け損失を抱えて辛抱することは容易ではない。