焼成坑228基は国内最多 北野遺跡を中心に土器展 三重・明和、斎宮博物館で
三重県多気郡明和町竹川の県埋蔵文化財センターは現在、同所の斎宮歴史博物館特別展示室で第43回県埋蔵文化財展「古代の土器生産」を開いている。古代から現代に至るまで土器生産が続けられてきた明和町周辺にスポットを当て、中でも6世紀中頃から8世紀末までの約250年間にわたって生産が行われた明和町北野遺跡から出土した土器などを中心に展示している。入場無料で、19日まで。 同センターは年に1度、埋蔵文化財展を開催。今回は「古代の土器生産」と題して5章構成で開催。うち第2章では北野遺跡を中心とした土師(はじ)器生産の移り変わりを分かりやすく展示。北野遺跡は明和町蓑村、明星に位置する遺跡で、これまでに土師器焼成坑が228基見つかっており、一つの遺跡で見つかった数としては国内最多となっている。 古墳時代には底が丸く、深い物が主体だったわんは、時代を重ねるにつれ浅くなる傾向を示し、奈良時代には、底が平らな物も現れる。また、土製品は精製された鉄分の多い粘土が使われ、赤っぽい色に焼き上げられるようになるなど大きな変化が見られる。 土器の変化とともに、調査した遺構の写真パネルも展示し、時代とともに大きさなどが変わっていることを伝えている。 また、本郷遺跡では2018(平成30)年度に明和町が行った発掘調査で、これまでの調査では分かっていなかった、県内でも初となる平安時代前期の土師器焼成坑が見つかっており、そこから出土した平安時代の皿や杯も見ることができる。 第4章では大きな土製品を紹介して、全国でもほぼ類例がない北野遺跡から出土した「有孔広口筒型土器」も展示。筒型で底に孔(あな)があるが、用途は不明という。 その他にも、かまど構築材や、土馬、魚網のおもりにされていた土錘(どすい)など、計256点が大きさや時代と共に分かりやすく並べられている。 同センターは「これだけの土器の生産が一つの遺跡(エリア)で続いていくのは全国でもない。北野遺跡を中心とした土器生産の300年ほどの移り変わりを見てもらえたら」と話している。