【祇園祭の和菓子】京都で受け継がれる、祇園祭の期間だけの貴重なお菓子
季節の移ろいを、素材と見た目で表現する和菓子。なかでも京菓子は、芸術の域に達する繊細な表現力で、夏の情景や涼感を求めるみやこの人々を魅了してきました。旬の素材が生み出す味わい、季節を先取りした意匠、さらには季節や行事、和歌、文学などから取り入れた美しい菓銘(かめい)の響きによって、京菓子は文字通り五感で楽しむ文化として、今日に受け継がれています。祇園祭の期間(7月1日から7月31日)だけに楽しめる特別なお菓子をご紹介します。
三條若狭屋(さんじょうわかさや)|祇園ちご餅
「本家若狭屋」より別家、1893年に創業。二代目が大正初期に、祇園祭の社参の儀で振る舞われた稚児餅に着想して創作した銘菓。甘く炊いた白味噌を求肥の皮で包んでいる。(1包3本入り540円) 【三條若狭屋】 京都府京都市中京区三条通堀川西入ル橋西町675 営業時間/9時~16時 定休日/水・日曜
緑菴(りょくあん)|祇園會(ぎおんえ)
「末富」で修業した主人が1979年に創業。鹿ケ谷通の閑静な住宅地に暖簾を掲げる。山鉾の屋根に付ける「網隠し」をモチーフにした菓子は、餡がういろう生地で包まれている。(1個486円) 【緑菴】 京都府京都市左京区浄土寺下南田町126-6 営業時間/10時~18時 定休日/水曜(祝日は除く) 10個から要予約 編集・文=柏木敦子(婦人画報編集部) 『婦人画報』2024年8月号