大谷翔平への「代打ドッキリ」に込められた思い 同じ異国出身だからこそわかる気持ち【2024年ちょっといい話】
【大谷翔平と仲間のちょっといい話(第3回)】 ドジャースの大谷翔平が打つ気満々でグラウンドを出ようとした時、チームメートでベテランのミゲル・ロハスはベンチの階段を上がり、バットを持って言った。「俺が代打だよ」。クエスチョンマークが浮かんで、キョトンとする大谷。その横で、仲良しのテオスカー・ヘルナンデスは大爆笑していた。 昨年、5月22日のダイヤモンドバックス戦の8回に、ロハスが仕掛けた「代打ドッキリ」。4点を追う展開で、絶対に代打はない場面で、ロハスは自身2度目の「ドッキリ」を実行した。大谷は事情が分かると、笑みを浮かべながらネクストバッターズサークルに向かった。 ロハスは翌日、「おふざけ」の真相を明かした。「負けている展開だったけど、常に翔平にはベンチでほぐれて、リラックスしていてほしい。心地いい環境をつくりたいから、たまに冗談を言ったりしながらね。前にも、『代打ドッキリ』はフリーマンの前でしたことがあるんだよ。初めてじゃないね」 ロハスはベネズエラ出身。文化の違う異国で戦う大谷の気持ちが分かるという。「日本とはカルチャーが異なる米国で、しかも、今年は初めてのチーム。大変なことはあると思うけど、彼にはいつもクラブハウスで心地よくしてほしい」とよく話していた。キャンプの時にはワインに手紙を添えて渡した。 大谷がマイアミで史上初の「50―50」を達成した時は、目頭が熱くなった。「泣きそうになった。彼と過ごした毎日のことが頭に浮かんでね。歴史の証人になったよ」。スーパースターの大谷が、ドジャーブルーになじむのに時間はかからなかった。(阿部太郎)
中日スポーツ