ATMに行政書類の発行… 「コンビニは“過疎地の生命線”」 セブン-イレブンが外資に買収されるとどうなるのか
「コンビニは“地域の生命線”」
さらに、こう続けるのだ。 「重要なのは、セブンなどのコンビニは小売りの最大手として流通を支え、そして食を通して消費者の暮らしを支える商店というだけでなく、すでに国内のインフラの一部となっている点です。ATMなどの銀行機能を備え、自治体の発行する書類を受け取ることもでき、夜間も営業していることから地域の防犯の役割も担っている。少子高齢化が進むさなか、特に過疎地などでは、コンビニは“地域の生命線”になっていると言っても過言ではありません」(同) そうした「生活の拠点」が、ひたすら合理性を重視する外資の手に渡ってしまうとすれば、由々しき事態というほかない。 「ACTは、直営店の比率が日本のコンビニよりも多いといいます。果たして、フランチャイズがメインであるセブンのような、地域に根差した経営が期待できるでしょうか。また今後国内では人口減が顕著になっていきますが、そうした市場を支えるために何をしていくのかといった積極的なビジョンを持ち合わせているとも思えません」(同)
「“風土”が違い過ぎる」
実際にHDのさる関係者も、こう明かすのだ。 「経営陣の本音は、ともかく提案を拒絶したい。そのために、どうはねのけようかと頭を悩ませているところです。消費者の利便性を最優先に考えるセブンと、ガソリンスタンドをメインにし、コンビニを買収してシェアを寡占状態にしたいACTとでは“風土”が違い過ぎます。セブンは70年代、それまで自宅で作って食べるものだったおにぎりを“買って食べるもの”に変えました。食べ物は地場で作って届けるのがモットーで、製造拠点がないエリアには安易に進出せず“利便性プラスおいしい”にこだわってきたのです」 こうしたセブンの姿勢については先のアナリストも、 「国内店1店舗あたりの1日の販売額は、22年度でファミリーマート、ローソンがそれぞれ約53万円と約52万円。対してセブンは67万円と抜き出ており、その3分の2以上が食品。海外展開にあたりセブンは、できる限り国内と同じく、きめ細かいオペレーションを行うことを基本戦略にしている。実際に北米コンビニ事業では、フレッシュフードを含むオリジナル商品の強化を進めています」 というのだ。