スウェーデンのNATO加盟はプーチン大統領の「オウンゴール」
テレビ東京・解説委員の山川龍雄が2月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。スウェーデンの加盟が決定したNATOについて解説した。
スウェーデンのNATO加盟が決定
スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟承認について、ハンガリー議会は2月26日、関連法案を可決した。NATO加盟国で唯一未承認だったハンガリーの批准手続きが完了し、これで32ヵ国目となるスウェーデンのNATO加盟が決まった。 飯田)去年(2023年)、フィンランドが入り、そしてスウェーデンも加盟が決定しました。
ウクライナ侵略がフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を促した
山川)プーチン大統領のオウンゴールですよね。ウクライナ侵攻の理由の1つが「NATOの拡大阻止」だったのに、逆の結果を産んでしまったわけです。特にスウェーデンとフィンランドは「弱者の戦略」と言われますが、どちら側にもつかず「NATOにも入らない」とロシアにアピールすることで、「安全保障は守られる」という考え方でした。しかし、ウクライナが侵攻されたため「中立国などと言っていられない」となり、NATO加盟を急いだわけです。そういう意味では、プーチン氏が求めた結果と逆になりました。 飯田)時代がまき戻ったのか進んだのかはわかりませんが、抑止力に関し「集団的自衛権の枠組みで対応しなければダメだ」という方針に変わったのですね。
スウェーデンがNATOに入ることで、海も空もいままでのように自由に活動できなくなるロシア
山川)特にロシアにしてみると、バルト海は大事な場所だったわけです。バルト海にはカリーニングラードという(ロシアの)飛び地があり、そこを隔てて回廊がある。ベラルーシとカリーニングラードを塞いでしまえば、バルト三国は補給路が絶たれます。バルト三国は常にそれを警戒し、「ウクライナの次は自分たちではないか」と考えたわけです。 飯田)ウクライナの次は。 山川)カリーニングラードはロシアにとって大事な前線基地です。ところが今回、スウェーデンがNATOに加盟した。周辺のバルト三国も含め、近代的な軍事設備を持っているのはスウェーデンであり、潜水艦などの水準も高い。スウェーデンがNATOに入ると、バルト海や周辺の支配権がシフトすることになりますから、ロシアは海でも空でも、いままでのように自由に活動できなくなります。