石破自民、迷走の末自滅 立民に未来託すには不安が 書く書く鹿じか
結果が出てから「たら」「れば」を言っても仕方がないのは承知しているが、今回の衆院選がもし、11月5日の米国の大統領選挙の後に行われていたら、と考えてしまう。 【表でみる】11月の主な政治日程 「石破外交」の行方も不透明に… 「もしトラ」でトランプ前大統領が返り咲いたら、安全保障でも経済関係でも、無理難題の大波が押し寄せるに違いない。ハリス副大統領が当選してバイデン政権の路線を踏襲したとしても、キナ臭さを増す朝鮮半島、台湾など東アジア情勢をめぐって、日本にはさらなる役割が期待されるだろう。否応(いなおう)なしに国際政治の現実に直面して、衆院選は「政治とカネ」ばかりが騒がれることにはならなかったはずだ。 自民党が大敗した。公明党も石井啓一代表が落選するなど議席を減らし、与党は過半数を大きく割った。石破茂首相が誕生し、総裁選の熱気が冷めないうちにと解散を急いだ自民党の選挙戦術のミスであろう。 石破首相は総裁選で独自の政策を掲げ、予算委員会での論戦を判断材料にして信を問いたいと言っていた。ところが、所信表明では石破カラーを封印し、代表質問と党首討論だけで解散に踏み切った。これでは首相がどうこの国の舵を取るのか、有権者に伝わらない。組閣も総裁選の論功行賞で、自民党を変えてくれるという期待はたちまちしぼんだ。時事通信の世論調査では、内閣支持率が28・0%と不支持率の30・1%を下回り、2000年以降の歴代内閣の発足時としては最低だった。 石破首相はこれまで、党内野党の立場で言いたいことを言ってきたのだから、長いものに巻かれず、やりたいようにやればよかったのだ。処分された前議員の公認、非公認をめぐって派閥パーティー収入の不記載事件を蒸し返してしまったのも響いた。野党はここぞとばかりに「裏金」と呼んで政治とカネの問題を攻めた。自民党が非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2千万円を支給したのは、手痛いオウンゴールだった。 衆院選は政権選択の選挙である。立憲民主党の躍進で政権交代も現実味を帯びてきたが、政権を担う準備と覚悟はできているのだろうか。 かつての民主党は「子ども手当」や「高速道路の無料化」などを盛り込んだマニフェスト(政権公約)で衆院選に圧勝し、政権交代を実現したが、その財源が「霞が関の埋蔵金」ではすぐにメッキがはげた。沖縄の米軍普天間飛行場の移設を、当時の鳩山由紀夫首相が「最低でも県外」と発言して迷走させた。甘言や夢物語で政権が取れると考えるなら、禍根を残す。
ウクライナを侵略するロシアが北朝鮮と手を握った。中国軍が大規模な演習を行い、台湾有事の懸念が高まっている。集団的自衛権の限定行使は憲法違反という立憲民主党に日本の未来を託すのは心配だ。(元特別記者 鹿間孝一)