ベッテルのル・マン参戦は望み薄? ウェーレイン、デイトナテスト突然参加でポルシェの空きシート獲得か
パスカル・ウェーレインが先日のデイトナテストにサプライズで登場したことで、来年のル・マン24時間レースでポルシェのファクトリーチームから参戦する可能性が出てきた。 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)は2025年の世界耐久選手権(WEC)に向けて2台の963 LMDhを走らせるファクトリードライバーラインアップを既に発表済みだが、同陣営が追加エントリーを決めた場合、ル・マンのラインアップには空席ができるのだ。 4度のF1世界チャンピオンであるセバスチャン・ベッテルは、今年初めに963をテストし、PPMの3台目からル・マンに参戦するのではないかと、その可能性が何度も取り沙汰されてきた。 しかしポルシェでフォーミュラEチャンピオンに輝いたウェーレインは、IMSA公式テストでポルシェのカスタマーチームであるJDCミラーからサプライズ参加。デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで963を走らせた。 先月、ポルシェ・モータースポーツを率いるトーマス・ローデンバッハ代表は、IMSAのGTPタイトル獲得によって追加エントリー枠を確保したため、来年のル・マンでは「3台のマシンを走らせる可能性が高くなった」と語っていた。 ポルシェは現在、2025年に向けてWECとIMSAで合わせて8名のドライバーを登録済み。1台のマシンあたり3名のドライバーが必要になるため、3台体制でル・マンに挑戦するためには、あとひとり足らない。 ポルシェのLMDhプロジェクトを率いるウルス・クラトレは、ポルシェがル・マンに3台目の963を投入する計画を進める場合、追加のドライバーが必要になると認めた。 そしてクラトレはベッテルがシートを獲得する可能性があることを否定せず、ベッテルと話し合いを行なったことも認めた。 ただ、37歳になったベッテルが2022年末にF1を引退して以来、デモ走行のみでレースに参戦していないのに対して、30歳のウェーレインはキャリアの全盛期を迎えている。 ベッテルとは異なり、ウェーレインは既にフォーミュラEでポルシェのファクトリードライバーを務め、2022年にはまだ開発中だった963をテストしていた。 実際、ウェーレインは2023年にポルシェがスポーツカーレースの最高峰に復帰するのに向けて、WECでフルシーズンを戦うドライバーラインアップ候補に挙げられていた。 しかし最終的に、ポルシェはフレデリック・マコヴィッキィと契約し、WECハイパーカークラスの参戦体制を固めた。 マコヴィッキィとアンドレ・ロッテラー、デイン・キャメロンの3人は2025年のポルシェLMDhラインアップから外れ、カスタマーチームであるプロトン・コンペティションからWECに参戦していたジュリアン・アンドラウアーがファクトリー契約を結んだ。 フォーミュラEへのエントリーも問題なし ウェーレインのLMDhプログラムが今度どうなるかはまだ不明だが、JDCミラーからのデイトナ24時間レース参戦はテストの後明らかにされるだろう。 ウェーレインが参戦するフォーミュラEのカレンダーと、1月27日~1月28日に予定されているデイトナ24時間レース、その前のテスト“Roar Before The 24”との日程のバッティングはない。さらに、ル・マンに備えて3月15日のIMSAセブリング戦に出場する可能性もある。 デイトナテストを経て963でのレース参戦の可能性が高まるウェーレインは、今後もマシンの学習を続け、PPMからのサポートを受けられる。フォーミュラEのスケジュールがル・マンデビューの妨げになることはないだろう。 しかしそうなると、ベッテルがポルシェのファクトリーチームからル・マンへ参戦するという道が閉ざされることになる。
Sven Haidinger