ギロチンに加え、大砲まで使って2500人以上を処刑…ロベスピエールはなぜ恐怖政治の代名詞になったのか(レビュー)
民主主義を考え直すきっかけとして
本書を読む3つ目のポイントは、やはり現代の政治、民主主義というものについて考え直してみるきっかけにして欲しいということです。 今読むと、ロベスピエールの言葉には、本当に力がある。そして美しい。このような言葉を、日本の政治家がひと言でも語ることができるのでしょうか。 政治は何のためにあるのか。立法者とは何か。社会とは何か。そのことを改めて考えるきっかけとして、ぜひロベスピエールの言葉を味読していただきたい。 もちろんロベスピエールの高邁な理念は、恐怖政治という最悪の結果に結びついてしまったことを忘れてはいけません。それはいったいなぜなのか、本書を読みながら、ぜひ皆さんにも考えていただきたいと思います。 最後に、ロベスピエールの言葉を引用します。 「社会の第一の目的は何か? それは人間の侵すべからざる権利を保障することである。これらの権利で第一位のものは何か? それは生存する権利である」(143頁) こう語っていたロベスピエール自身が、結果的に多くの人民を死の淵へと追いやることになってしまった――何という歴史の皮肉でしょうか。人間というものの不可思議さが胸に深く迫ってくる1冊です。 [レビュアー]明石健五(「週刊読書人」編集長) 早稲田大学在学中から自主製作で8ミリ映画を製作。卒業後、映像製作会社、公益社団法人等に勤務。二度の引きこもり生活を経て、1996年、株式会社読書人入社。2011年から編集長。1965年、東京生まれ。 協力:読書人 週刊読書人 Book Bang編集部 新潮社
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