【地方創生の現場】今、地方に何が必要か?50歳夫婦「東京にうんざり」愛媛移住で栗農家に!”ブランド化が全てじゃない”戦略の秘密
「東京は暑いし、人は多いし、うんざり。死ぬまでに移住しなきゃ.....と思っていた」。 北原幸子さんの言葉に迷いは全くない。北原さん夫婦はともに50歳という決して若くはない年齢でこの夏、栗農家”見習い”として新しい人生をスタートさせた。東京生まれ東京育ち、10年ほど前から移住セミナーに参加し、東京・有楽町で開かれていた愛媛の移住フェアで、ある町に心をつかまれた。愛媛の奥伊予と呼ばれる西予市城川町だ。 「松山には観光で行ったことがあるが、あそこは都会。コンビニとかない方がいい」(幸子さん)。移住先の城川町は人口約2,800人、市町村合併から20年間で人口が4割も減った。去年、生まれた赤ちゃんは2人.....というのが何より寂しい。 幸子さんは地域おこし協力隊員として『栗農家になる』というミッションを達成すべく活動している。期限は3年間。夫、篤志さんは「協力隊員の協力者」(幸子さん)だそうだ。愛媛県は全国3位の栗生産県で、城川町は県内有数の産地だ。しかし、なぜ今、栗農家なのか。『栗農家になる』というミッションを提示して移住募集したのは自治体だが、その背景は?さらに、地域の栗を”ブランド化しない”という「逆張り戦略」がみえてきた。地方創生の今を取材した。 【南海放送オピニオン室 三谷隆司】
ケーキをそのまま飲むような不思議な栗スイーツ
「むむっ!この濃さは一体.....」「モンブランケーキのスポンジ部分まで丸ごとシェイクして冷やした感じだ」。 城川町の道の駅「きなはい屋しろかわ」でこの秋、新発売された『飲むモンブラン』(600円)はボリューミーで濃い。 1年がかりで完成させたという西又美穂さんが「本当に試行錯誤の連続だったんです」と訴えるように説明する。「氷はガリガリでもフワフワでもダメで、シャリシャリに。牛乳は動物性の風味が、どうも栗とは合わず、豆乳を程よく混ぜました」。1年間の苦労話なのだが、なぜか表情は明るく楽しげだ。「このノリと陽気さは、もしかして.....」と出身地を聞くと、大阪からUターンして地元、城川町に帰ってきたそうだ。