【地方創生の現場】今、地方に何が必要か?50歳夫婦「東京にうんざり」愛媛移住で栗農家に!”ブランド化が全てじゃない”戦略の秘密
地方創生に成功への共通のモデルはない
地方創生は難しい。 地元でも『株式会社 西の栗』について、「まぁ、やってみないと.....理想通りいくかどうかは、これからが勝負」(農業関係者)との声があるのも事実だ。 地方の住民は、これまで散々、国の政策としての地方創生に振り回された。古くはバブリーな「ふるさと創生1億円」にはじまり、最近では難解な「デジタル田園都市国家構想」だ。地方のデジタル化が重要なテーマであることに異論はないが、地方でこの構想が理解され、受け入れられたのか?私は疑問だ。今、私たちの身近な場所の切実な問題は、人口の激減であり、目の前で荒廃する栗の園地であり、草刈りを邪魔する夏の猛暑なのだ。 地方に行けば行くほど、自治体と住民の距離が近く、一体感が強い。これは地方の強みだ。北原さん夫婦を城川町に導いたきっかけは、地域の課題を住民のそばで感じ取った自治体が、東京で開催した移住フェアだ。『3年間で栗農家になる』というユニークなキャッチコピーを掲げ、地域おこし協力隊の制度を利用して、『株式会社 西の栗』のリクルート活動を実質的にバックアップしたことになる。 北原さん夫婦のように「すべてを処分して、ここに来た」(幸子さん)ほどの熱意を持った人材が現実にいて、それを受け入れる『株式会社 西の栗』という地域に根差したベンチャーも生まれている。現実の”芽”をいかにサポートするか。小さくても、目立たなくても、せっかく育とうとしている芽を大切にする地方創生であって欲しい。