いつまでも忘れない…小柄で脚が短くて、めちゃかわいいパンダ!タンタンの「バレリーナ・ポーズ」
神戸で迎えた最期
神戸市立王子動物園で飼育されているメスのジャイアントパンダのタンタン(旦旦)が亡くなったのは、2024年3月31日、午後11時56分のことだった。28歳。人間でいうと、80代以上。大往生といってもいいくらいだ。 【写真】まるで、ぬいぐるみのよう…タンタンの「愛くるしい瞬間」! 報道があったのは翌4月1日の午後だった。エイプリルフールであってほしいと一瞬思ってしまった(もしエイプリルフールであったとしても、はなはだ趣味の悪い嘘ではあるが……)。 タンタンの心臓疾患の発表があったのは、3年前。高齢なことを考えると、よくがんばってくれたのだろう。2020年に、中国への返還されることが決まった。しかし、コロナ禍とタンタン自身の体調などの影響で何度も延期となり、結局は神戸で最期を迎えることとなった。 タンタンは1995年9月16日に中国四川省で生まれた。2000年7月16日に、オスのコウコウ(興興)とともに来日した。日中共同飼育繁殖研究という目的のもとに、阪神淡路大震災で傷ついた人々を癒してくれることも大いに期待されていた。 タンタンの中国名は爽爽(スウァンスウァン)。だが、市民に親しまれるようにと神戸市が希望し、愛称を公募することとなった。 最多は、なんと「短短(タンタン)」だった。公募のパンダ紹介に、「脚がちょっと短い」と書いてあったためのようだ。ただ、「響きはかわいくても、外見に由来する漢字を当てるのはちょっと……」ということで、応募数は少なかったが同じ響きを持つ「旦旦」が採用された。 「旦」は「夜明け」を意味する。響きが可愛いのはもちろん、神戸の復興にこれほどふさわしい名前はなかっただろう。
「パンダは可愛い」を上回る可愛さ
タンタンは、神戸の市民はもちろん、日本中の人たちから愛された。筆者を含め、タンタンに会いたい! と遠方から訪れるファンはとても多かった。 筆者がタンタンと初めて会ったのは、2015年7月11日だった。 パンダにはまったのは、2013年1月。和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで2012年8月に生まれた「優浜(ゆうひん)」の名付け親になり、対面したことがきっかけだった。もっと早くタンタンに会いにいけばよかったと、今さらながら後悔する。当時の自分を叱りたい気持ちだ。 初めて会ったタンタンは、衝撃的に可愛かった。タンタン目当てに神戸に移住する人がいるのも、十分に理解できる。徒歩距離で、毎日散歩がてらタンタンに会える生活なんて、まさに楽園だろう。 「パンダはみんな可愛いでしょう?」と思うかもしれない。たしかに、一般論として、パンダはみんな可愛い。 けれども、タンタンは、一般論の「パンダは可愛い」をはるかに上回る、タンタンにしかない、タンタンならではの魅力に溢れている。