『光る君へ』紫式部が<彰子サロン>に就職!そこで出来た美人で優秀な親友「宰相の君」の父親はまさかの…家をあてにできなかった女性貴族たちの奮闘
大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回「まひろが出仕した彰子サロン」について、『謎の平安前期』の著者で日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。 12歳で入内後、出産まで実に10年を要した道長の娘「いけにえの姫」彰子。苦しんだであろう日々が『源氏物語』にも影響を…その生涯とは * * * * * * * ◆紫式部の就職先について ドラマ内で、彰子の女房になることを道長から勧められたまひろ。一家の家計のためにも藤壺に上がることを決意しました。 しかし予告を見る限り、出仕した内裏では、先輩の女房たちから冷たい扱いを受けることになるようで…。 なお史実によると、紫式部が仕えた彰子中宮には、二十数人の女房が仕えていたと考えられています。まひろが出仕したのは、たくさんの同僚がいる職場だったわけですね。 その中には、赤染衛門をはじめ、和泉式部や小式部内侍、伊勢大輔などの百人一首の女流歌人もおり、才能あふれるキャラクターがいたことが知られています。 『紫式部日記』には、その中で孤立した話、いじめられた話など、いかにも“引っ込み思案”の紫式部らしいエピソードが見られるのですが、彼女の親友とも言える女房も数人記されています。 「宰相の君」と記される女房もその一人です。
◆紫式部の親友「宰相の君」とは その名の由来は、「参議(国政会議に出られる上級貴族の役職。宰相は中国風の呼び方でシャレた感じ)の身内の方」というくらいの意味です。 彼女は彰子の側近で、彰子が敦成親王(後一条天皇)を産んだ時には、母の源倫子(藤原道長の正妻。ドラマでは黒木華さんが演じる)と共にその側にいて大活躍しています。 紫式部は、そんな彼女が硯箱を枕にうたた寝をしている様子を「可愛らしく気品のある色気があって、物語のヒロインみたい」とほめています。 式部はその後、口元を隠した衣装の袖をめくって顔を覗き込み、宰相の君に「何するの!!」とキレられていますが、キレた様も可愛いというので、よほどの美人だったのでしょう。 実は彼女は紫式部よりずっと身分の高い、おそらく上臈女房と呼ばれる人たちの一人です。そして藤原豊子という本名がわかっており、その父はなんと藤原道長の異母兄、道綱。ドラマでは上地雄輔さんが演じています。
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