Temu運営の中国「拼多多」、成長ペースがさらに鈍化 7~9月期は売上高、純利益ともに予想値に届かず
中国発の低価格越境EC(電子商取引)サイト「Temu(テム)」の運営母体である、中国のEC大手のPDDホールディングス(拼多多[ピンドゥオドゥオ])。同社の急成長のペースが鈍化し、投資家の失望を招いている。 【写真】中国製品に対する追加関税の引き上げを公言するアメリカのトランプ次期大統領 拼多多は11月21日、2024年7~9月期の決算を発表。同四半期の売上高は993億5400万元(約2兆1308億円)と前年同期比44%増加したものの、アナリストの事前予想の平均値(1028億3400万元=約2兆2054億円)に届かなかった。
売上高の伸び率の低下は、直前の4~6月期に続いて2四半期連続だ。1~3月期の売上高は前年同期比131%もの伸びを記録したが、4~6月期は同85.7%に減速していた。 ■決算発表後に株価急落 それだけではない。7~9月期の純利益は、ストックオプションや投資損益などを控除・調整した非アメリカ会計基準(非GAAP)ベースで274億5900万元(約5889億円)と前年同期比61%増加した。しかし売上高と同じく、アナリストの事前予想の平均値(292億700万元=約6264億円)を下回った。
1~3月期には非GAAPベースの純利益が前年同期比202%増、4~6月期には同125%増を記録していただけに、これまでの破竹の急成長が転機を迎えた印象が拭えない。 「EC業界の競争は熾烈で、経営環境は非常に厳しい。わが社の事業も多くの困難に直面しており、長期にわたって一直線の成長を続けるのは不可能だ。業績の伸び率の鈍化は、ある意味で必然と言える」。拼多多の共同CEO(最高経営責任者)を務める趙佳臻氏は、決算説明会でそう述べた。
趙氏の弱気とも受け取れる発言は、さらなる成長鈍化を懸念する投資家の不安を増幅した。アメリカのナスダックに上場する拼多多のADS(アメリカ預託株式)は、決算発表の直後に急落。11月21日の終値は104.09ドル(約1万6171円)と、前日比10.6%下落した。 拼多多の経営陣は、短期的な急成長の維持よりも中長期的なプラットフォームの改善を重視する姿勢を打ち出している。 同社は2024年8月に「100億元(約2145億円)の費用減免計画」と銘打ち、国内向けの拼多多や海外向けのTemuに出店している加盟店へのサポート強化に乗り出した。そのなかには取引手数料の払い戻し、後払いサービス手数料の減免、出店保証金の軽減、資金の引き出し手続きの簡素化などが含まれている。