「世界で最も美しい美術館」 広島県大竹市の下瀬美術館が最優秀賞のベルサイユ賞を受賞
ユネスコ本部で創設された建築賞 「ベルサイユ賞」
ユネスコ本部で創設された建築賞<ベルサイユ賞>の「世界で最も美しい美術館」7施設にノミネートされていた下瀬美術館が、最優秀賞のベルサイユ賞を受賞したことが分かった。 ベルサイユ賞とは、2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の本部で創設された建築賞で、世界中の空港や商業施設、ホテル、スポーツ施設など8つのカテゴリーを対象に著名な建築家や哲学者らの審査によって選出される世界的建築賞。各部門でノミネートされた中から3施設に対して、最優秀のベルサイユ賞、内装特別賞、外装特別賞の3つの賞が授与される。 そして2024年、ベルサイユ賞創設10周年を迎える今年より新たに設けられた 「Museums」 (美術館・博物館) のカテゴリーにおいて、下瀬美術館 (広島県大竹市) が最優秀賞であるベルサイユ賞を受賞に輝いた。 ●下瀬美術館 建築家 坂 茂 氏のコメント 下瀬美術館は瀬戸内海に面した約400メートル幅の美術館で、環境を最大限にいかしました。水に浮いて動くギャラリーや木造の建築など色々なイノベーティブなものが評価されたと考えています。自由に設計させていただいた初めてのチャンスで、下瀬ゆみ子館長をはじめ多くの関係者の皆様に感謝しております。 ●下瀬美術館 代表理事 吉村 良介 コメント ベルサイユ賞を頂き、とても光栄に感じております。建築家 坂 茂先生をはじめ、この美術館の建設に携わったすべての皆様に感謝を申し上げます。坂先生にこの美術館の設計をお願いした際、先生は瀬戸内海の島々をご覧になられ、多島美を表現したいとおっしゃいました。そして、色とりどりのキューブで構成された「可動展示室」のイメージを見せていただきました。その建築パースを見た瞬間、動かせる美術館という世界初の美術館建築を実現しなければならないという強い思いを抱きました。 浮力の力で動かす仕組みの可動展示室の建設は困難を極めました。まずベースとなる下部の台船は造船所で細密に製作したものを台船クレーンで釣りあげたまま、海路より陸揚げし、上屋の部分は現地で建設いたしました。竣工前に水位を上げ、浮力実験を行った時に、約42トンもするキューブが浮き上がった瞬間、現場全員の喚起の声が上がりました。さらに移動を開始すると、一人の力でも動き、全員が驚いたことは今でも忘れません。 2023年3月のオープンから、世界中から数多くのお客様をお迎えしております。今後も多くの方に訪れていただき、下瀬美術館並びに瀬戸内の多島美の美しさをご覧いただけると幸いです。 ●ベルサイユ賞ホームページ https://www.prix-versailles.com/2024 ●2024年「世界で最も美しい美術館」ノミネート施設 ・A4 Art Museum(中国) ・Grand Egyptian Museum(エジプト) ・Smritivan Earthquake Museum(インド) ・Simose Art Museum/下瀬美術館(日本) ・Paleis Het Loo(オランダ) ・Oman Across Ages Museum(オマーン) ・Polish History Museum(ポーランド)