フランス年金問題「62歳→64歳」に国民怒りのスト。若者が「高学歴で高収入の政治家」に猛抗議するワケ
◆反発するも、政治へ強い関心が
年金改革を決行したエリザベット・ボルヌ元首相は、それから1年もたたない内に辞任しています。一方でマクロン大統領の支持率は、過去20年で最低水準にまで低下。2024年にはデモが一段落したものの、フランスの首相が1年で3度も交代するなど、年金改革以降の政局は波乱含みです。 ただ、2024年夏に行われたフランス総選挙(国民議会議員を決める選挙)では、非常に多くのフランス人が投票に向かいました。選挙は2回にわたって行われ、1回目の投票率は52.5%、2回目の決選投票では66.6%という高い数字を記録しています。その中でも若い世代の投票率が高かったことは、フランスならではの現象と言えるでしょう。彼らは「変わらない将来」を憂うより、「自分たちで変革を」と率先して行動を起こします。 このようにフランス国民の不満は、単なる年金問題にとどまらず、全世代にわたる「将来への不安」に根ざしています。現在はデモもストも落ち着いていますが、社会全体を巻き込んだ複雑な問題だけに、抗議活動が再燃する可能性は否めません。 この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
大内 聖子