広島市、30年前の工事施工者調査へ 安佐南区上安の盛り土問題 「原因行為者」なら対策費請求も
広島市安佐南区上安町の不安定な盛り土の問題で、広島市の松井一実市長は22日、関係者らを調査し、約30年前の造成に関わった事業者や地権者が判明した場合に今後の安全対策工事の費用を請求する考えを示した。工事は2025年度の着手を目指すとした。 【地図】のり面が一部崩れている盛り土 この盛り土の危険性は、静岡県熱海市の土石流災害(21年)を受けた広島県の緊急調査で発覚。県が今月、対策工事が必要との調査結果を公表し、市も工事に乗り出す方針を示していた。 松井市長は記者会見で、盛り土ののり面は地権者が確定していないため、安全最優先の観点から市が先行的に工事を検討すると言及。併せて、「実情把握という形で所有者とか工事関係者の調査を進めていく」と述べた。盛り土の造成にかつて関わった「原因行為者」と分かった場合は、対策工事費の請求を検討するとした。 現場の一帯では、もともとあった産業廃棄物処分場が拡張されて一部が盛り土の上に重なり、のり面の一部が崩落しているが、処分場の現在の事業者は「盛り土の存在を前の事業者から一切聞かされずに購入した。崩れているのり面は自社の土地ではない」と主張している。のり面の地権者や原因行為者が今後も判明しない場合、対策工事は公費負担となる可能性がある。 松井市長は、来年度の工事着手を目指し、国の補助金などが一部に充てられないか調整する考えも示した。
中国新聞社