羽生か、宇野か、フィギュア新4回転時代を勝ち抜くのはどっち?
さらに今シーズンから転倒に対する減点ルールが、これまでの「1回転倒でマイナス1点」が、「1、2回目の転倒は、マイナス1点だが、3、4回目の転倒はマイナス2点」、「それ以降の転倒は、マイナス3点」と変更されたが、これが新4回転時代における競技者に少なからず心理的な影響を与えるという。 「4回転時代には転倒のリスクが増しますが、基礎点を考えると、それでも挑戦するメリットは大きいのです。ただ、今シーズンのルール変更で3回目からの転倒は、マイナス2点になりますから、これまでのようにミスをしても平静に挑戦し続けることが難しくなるのではないかと考えます。 やはり、冒頭の難易度の高いジャンプで転倒した場合、心理的なプレッシャーが増すことになります。表現よりもスポーツ化している今のフィギュアでノーミスでクリアな演技することは難しいでしょう。なおさらミスした後をカバーする精神力、安定性が求められます。スケートアメリカで、アダム・リッポンがSPで4回転を跳ばずに総合で3位に入りましたが、ひとつひとつのエレメンツを丁寧にミスせずにクリアしていく選手が安定して生き残るという現象が起きるのかもしれません」 これらを加味した上で、中庭氏はあくまでも個人的な見解として、今シーズンから始まった新4回転時代を勝ち抜くのは、羽生か、宇野かについて、こう語る。 「今現在のコンディションで2人が勝負すれば、成長の著しい宇野選手が勝つかもしれません。ただ羽生選手のコンディションが万全であれば誰にも負けないでしょう。ひとつひとつのジャンプの質、スケーティングのレベル、ランディング姿勢の美しさ、表現力などは群を抜いています。4回転も3種類をしっかりと跳べます。 比べて宇野選手には、まだジャンプを降りるときの乱れ、危なっかしさのようなものが若干残っています。でも、宇野選手の存在は羽生選手に危機感を抱かせているとは思います。それでもモチベーションを上げるのが巧なのが羽生選手なので、宇野選手の存在をうまく利用して心に火をつけているのでしょう」 宇野は、今週末のロシア杯に出場予定で、羽生の次戦は11月25日からのNHK杯となっている。新4回転時代を誰が勝ち抜くのか。面白くなってきた。