羽生か、宇野か、フィギュア新4回転時代を勝ち抜くのはどっち?
「一方、スケートアメリカでの宇野選手の優勝は十分に予想できました。昨年に比べて技術面、表現面共にレベルアップしています。4回転フリップの安定度も試合毎に増しています。さらに目につくのがフィジカルの成長ですね。個人トレーナーをつけてトレーニングをされていたと聞きますが、オフアイスの努力の成果が氷上から伝わってきます。強いな、崩れないな、そういう印象です」 中庭氏は、GPをそれぞれ2位、優勝でスタートした日本男子フィギュアのエースとホープをそう高く評価した。その上で、新4回転時代を勝ち抜く競技者の条件をこう定義した。 「フィギュアは、どんどんスポーツ化しています。優勝を争うためには、4回転をSPで2本、FSで4本プログラムに組み込んでいかねばなりません。競技者は大きなリスクを背負います。羽生選手も宇野選手も冒頭に4回転でも難易度の高いジャンプを組み込んでいますが、肉体への負担は大きく演技後半の体力を消耗させます。演技における力の配分というものがこれまで以上に重要になってきます。 また、これだけの数の4回転を入れたプログラムを完成させるには、練習量も増え、練習の段階から腰、膝、足首に3箇所にかなりの負担がかかります。この3箇所のうち3分の2を痛めると、もう試合出場も難しくなります。つまり、これだけの負担を体にかけながらシーズンを通じてのコンディションをいかに維持するか。シーズンのコンディションのマネジメント力が、4回転時代を勝ち抜く大きな条件となります。宇野選手がオフアイスのトレーニングを強化していましたが、その取り組みは、まさに4回転時代を意識した肉体作りでしょう」 練習を重ねながら、シーズンをいかに故障無しに乗り切るのか。氷上以外の“見えない戦い”が占める割合が増えるという。4回転の寵児として、昨シーズン衝撃のデビューを飾ったボンヤンジーが、スケートアメリカで4回転を6本中3本を失敗するなど、まだ本調子にならないのも、中庭氏は、「4回転の肉体への負担の影響が出ているのではないか」と見ている。