認知症、墓じまい、保険の見直し…人生の後半戦で必要な「終活」で注意すべきこと
葬儀・墓じまいについても検討する
終活にあたっては、自分自身が亡くなった直後のこと、つまり葬儀についても検討しておく必要がある。 葬儀にもトレンドがあって、近年は「より小さく、より簡素に」なってきており、コロナ禍がそれに拍車をかけたという。具体的には、家族だけが参列する家族葬や、通夜を省いた一日葬が増えており、葬儀費用の金額は減る傾向にある。このことは、意識しておいてもいいだろう。 どんなスタイルの葬儀にせよ、自分で自分の葬儀を執り行うことができないので、元気なうちにどんな葬儀にしてほしいか、委ねる相手に詳しく伝えておく必要はある。でないと、亡くなった後、家族だけでなく、お世話になった施設、病院、家主、近所など、思いもかけず、多くの人の手を煩わせてしまう。 もう1つの検討事項は、「墓じまい」をするかどうか。これも年々増え続け、20年前の2倍(約12万件)にのぼるそうだ。背景には、少子超高齢化という時代の変化がある。 実は、墓じまいを含めたお墓の問題は、「家族が切り出しやすいテーマ」なのだという。 親のほうも、「子や孫に負担をかけたくない。私の代で解決しておかないといけない」などと気になっているからだ。ただ、墓じまいをするといっても、親族と話し合って合意する必要がある。子どもの帰省のときなどに、一度その機会を持つのもいいかもしれない。
死亡保険などの見直しも忘れずに
もう1つ忘れてはならないのは、保険の見直しだ。 定年退職や子どもの独立といったタイミングで、新たな保険に加入すべきかなど、考えてみることを著者はすすめている。 特に、高齢になってからの民間の医療保険の加入には注意が必要。 75歳以上の後期高齢者であれば、病院での窓口負担は1割ですむし、十分な預貯金があれば「保険は必要ない」としている。 逆に加入するのであれば、80歳頃がリミットとなる。差額ベッド代など、公的な医療保険では賄えない費用は何か、どれぐらいかかるかを事前に確認してから判断することになる。 さらに死亡保険も検討する。保険料を一括で払う一時払い終身保険や平準払いの終身保険など、保険会社や保険の種類によって、さまざまな選択肢がある。 いずれにせよ、保険に加入する主な目的は、自身の葬儀代や相続税の対策だろう。預貯金があるといっても、死亡時において口座を凍結されることがあり、葬儀費用や相続税を負担する人を受取人として、死亡保険を設定しておくことも重要になってくる。 * * * 上でまとめた話は、本書で説かれる終活のほんの一部にすぎない。親も子も、考えておくべきこと、やっておくべきことは、意外なほど多岐にわたる。だから著者は、「80歳からの就活で遅すぎる」と釘を刺す。人生の最終段階に差しかかって、あわてふためくことのないよう、本書をチェックリストとして活用してみてはいかがだろう。 【今日の定年後の暮らしに役立つ1冊】 『相続・遺言・介護の悩み解決 終活大全』 福村雄一著・編集 定価1650円 Gakken 文/鈴木拓也 老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagramに掲載している。
サライ.jp