「モビリティショー」で革新の芽 新興企業と完成車・部品各社、交流が活発化
企業向けの車の展示会「ジャパンモビリティショービズウィーク」が18日までの4日間にわたり、幕張メッセ(千葉県)で初めて開催された。完成車や部品のメーカー、スタートアップ企業など約200社が出展。中部企業も得意の技術や考案中の新事業アイデアを持ち寄り、活発な技術交流が行われた。人工知能(AI)などを活用して技術革新を芽吹かせる絶好の機会になったようだ。 触発 「なるほど、その手があったか」―。太平洋工業(本社大垣市)のオープンイノベーション推進室の金森和宏氏は、期間中に新興企業からの柔軟な発想に何度も触発された。1日当たり平均30~40社と面談し、先端的なAIなどの技術提案を受けた。牛の体調変化の兆候を検出できるシステムの性能向上や、工場の生産性アップに向け活用を探る。 スズキは小型の電動モビリティを出展。新興企業からは観光地での移動手段などとして活用法が提案されたほか、「当社で想像できなかった利用のアイデアもあった」(Eモビリティ開発部の担当者)という。
豊田鉄工(本社豊田市)には小型モビリティ「コモビ」に飲料ホルダーやバッグなどを装着する案が示された。営業部主査の酒井秀彰氏は「ちょうどオプション品を考えている最中だった。ぜひ実用化したい」と力を込める。 発掘へ 住友理工(本社名古屋市)は、電気自動車(EV)の電池の底面を冷却するバッテリー冷却プレートを展示した。出展の狙いは完成車メーカーへの提案ではなく、協業先の発掘だ。 冷却プレートは、ゴムホースなどの生産で培った流体解析技術を生かして開発した。量産することになれば大型のプレス機やノウハウが必要になるが、「自社完結しようとすると投資がかさみ、参入まで時間がかかる」(先行技術開発部EV冷却技術1課の若園幸典課長)と課題を感じていた。展示会で協業につながりそうな数社と面談ができ、認知度向上にもつながったという。 アイシン化工(本社豊田市)は、自動変速機(AT)向け部品で培った紙すきの技術を紹介した。同社も狙いは新たな用途探索と協業先探しだ。展示会では繊維メーカーやプレス加工業者などと面談が実現したという。CN先行開発グループの河合章範グループリーダーは「協業がテーマの展示会のため出展者も来場者も頭を柔らかくし、どの分野で協業できるかを真剣に考えている。今までの展示会にはなかった雰囲気だ」と語った。