「同性婚法制化へ議論を」当事者、国に求める声 専門家「生きる希望に」 衆院立候補者、分かれる賛否
静岡県内立候補者 分かれる賛否
性的少数者(LGBTQなど)を支援する団体が行った2022年の調査によると、10代の性的少数者の約7人に1人が1年間に自殺未遂の経験があった。同年代の平均に比べて4倍ほど高かった。「結婚の自由をすべての人に訴訟」の原告弁護団の水谷陽子弁護士(名古屋市)は「法律で保障されていないことが性的少数者の自殺考慮やメンタルヘルス(心の健康)に影響している」と指摘し、同性婚を念頭に「法的な平等は当事者が安心して生きていける希望になる」と力を込めた。 静岡新聞社が行ったアンケートでは、静岡県内8小選挙区の立候補者29人のうち、「賛成」「どちらかといえば賛成」が17人、「反対」「どちらかといえば反対」が10人、「どちらともいえない」が2人だった。
37カ国・地域で法制化 広がる流れ
同性婚は2001年のオランダを皮切りに欧米を中心に広がり、現在37カ国・地域で認められている。アジアでは2019年に台湾で法制化され、2023年6月にはネパール最高裁が同性婚を認めて婚姻届を受理したほか、来年1月からタイでも施行される。 日本では法定相続権や配偶者ビザ取得、共同親権、所得税の配偶者控除など法律婚で得られる権利を同性カップルに認めていない。一方、カップルの関係を認める「パートナーシップ制度」を導入する自治体は増え続け、10月現在、全国で人口カバー率88%に及ぶ。 日本では同性婚は法制化されていないが、3月の札幌高裁では、国が同性婚を認めない法律の規定は婚姻の自由や個人の尊厳を定めた憲法24条と法の下の平等を定めた憲法14条に反するとした。同様の裁判の地裁判決では違憲2件、違憲状態3件、合憲1件だった。