小岩を舞台に女子ラグビードラマ 予算200万円弱で挑戦
文化庁などが推進するbeyond2020プログラムは、日本文化の魅力を発信するとともに東京オリンピック以降を見据えたレガシー創出のための文化プログラム。その認証を受けたWebドラマ「小岩セブンズ」(全7話予定)が今月13日からYouTubeで配信スタートした。キャストやスタッフは手弁当で集まり、通常450万円かかる予算を200万円弱に圧縮したという。もちろん無料で視聴できる。通常のテレビドラマとは異なる取り組みについて、脚本・監督の中西広和氏とセブンズのメンバー・赤沼結衣役の相場美晴に聞いた。
商店街の人々も素のまま出演
通常のドラマの場合は、CM広告スポンサードやバックナンバーの配信などでマネタイズされたり、映画と同様の扱いにしてイベントや興行収入、DVD化や有料配信などでマネタイズするなど、利益を上げるポイントは複数考えられる。「小岩セブンズ」はYouTubeでの無料配信が中心のため、放送尺の長さもそれぞれのエピソードごとに違うなど、可能な限り自由な表現ができるように取り組んだという。口コミで草の根的に視聴者が増えて行くのが理想だ。 東京は江戸川区の小岩を舞台に7人制女子ラグビーチームの成長を描く下町情緒あふれる物語で、日本の伝統文化「紙芝居」も取り入れた。 それにしても、なぜ小岩なのか。 「舞台となる下町を探す中、観光地化されているところは避けようと。小岩をロケハンしたとき、見ず知らずの地元の人たちが『こんにちはー』ってあいさつしてくれて。これが下町だなって。しかも江戸川区は、ラグビーが盛ん。もう小岩しかないなと」 中西氏は、小岩を舞台にした経緯について熱く振り返る。小岩は東京23区の東端にある江戸川区の街だ。江戸川をはさんですぐ隣は千葉県の市川市になる。昔から駅周辺の歓楽街が賑やかなこともあり、必要以上にガラの悪いイメージがつきまといがち。バラエティー番組でも「住みたくない町」などと面白おかしくいじられることが多いが、そんな中には誤解や極端な表現も少なくない。 「僕も高校が葛飾・江戸川界隈でしたが、友達もいいやつばかりだし、ネガティブなイメージを払拭したい。特別、治安が悪いとかそういうことじゃないんだよって」 ドラマには商店街のお店を訪れる場面もあるが、本物の店員がそのまま出演している。素人なので演技をさせるのではなく、普段通りの接客をしてもらったそうだ。