タイプ993のポルシェ911スピードスターが30年の時を超えてワンオフで登場
細部に至るまで手作業で入念に作り込まれた内外装
今回製作されたワンオフモデルのベースとなったのは1994年製「911 カレラ カブリオレ(タイプ993)」。ボディカラーに選ばれた美しいイエローは、このモデルのために特別に調合された。トラッツィ氏は完成したボディカラーに満足し、彼の愛犬の名前からこの色を「オットー・イエロー(Otto Yellow)」と命名している。 トラッツィ氏がこだわたリアリッドとウィンドスクリーンにはスピードスターの典型的なデザイン要素が盛り込まれ、さらに印象的な特徴としては、1960年代のクラシカルなフォルムを踏襲したブラックの円錐形バックミラーが採用されている。 ターボデザインの18インチ軽量ホイールは黒にペイントされ、後輪の前には歴代スピードスターに見られる黒い石片保護シートが装着された。これらは黒いドアハンドルやフロントスポイラー、エアインテークと美しく調和する。 インテリアはブラックレザーにイエローのステッチが施され、ヘッドレストには「Speedster」のロゴが刺繍されている。インテリアのハイライトは黄色と黒のチェック柄があしらわれたシートセンターで、このチェック柄はすべて手作業で仕立てられている。また同じ柄がレザーで装飾されたフロントラゲッジコンパートメント、ツーリングバッグにも施されている。 ダッシュボード、センターコンソール、ハンドブレーキ、セレクターレバーにはカーボンファイバーエレメントが使用され、シートの背面もカーボンファイバー製となる。同じくカーボンファイバー製のドアシルトリムには「オットー イエロー」のアンビエントライトが組み込まれる。 インパネにはナビゲーションとApple CarPlayを備えた最先端のインフォテインメントシステム「ポルシェ クラシック コミュニケーション マネージメント (PCCM)」 を搭載。そのスタート画面は顧客向けにカスタマイズされている。 細部へのこだわりでは、パワーウインドウのスイッチはスピードスターのサイドセクションをイメージしたデザインに変更され、ダッシュボードにはゴールドの「One-off」バッジが装着されている。 エンジン、シャシ、ステアリング、ブレーキシステムなどメカニズムは1994年型の911 カレラ RS(タイプ 993)のもので、空冷式6気筒ボクサーは、排気量3.8Lで300psを発生。当時ポルシェの最もパワフルなエンジンだった。 「私の夢は、タイプ993の911 スピードスターでコレクションを完成させることでした。このプロジェクトではこれまでのすべてのスピードスターモデルの要素を忠実に盛り込みたいと考えました」とトラッツィ氏はコメント。30年の時を超えて、3台目のタイプ993の911スピードスターが誕生した。
Webモーターマガジン