近年増える「入域料」 施設老朽化や過剰利用背景に 尾瀬でも徴収案
群馬、福島、栃木、新潟各県にまたがる尾瀬国立公園で、登山者から「入域料」を徴収する案が浮上している。主要な入山口がある群馬県の山本一太知事が口火を切り、環境省や栃木県も検討を許容する構え。 浅尾慶一郎環境相は6日の閣議後会見で「群馬県からの相談を受けたらしっかりと対応していきたい。施設の老朽化などの課題に対応し、国立公園の保護管理を一層充実させるため、実情に応じて対応を検討していく」と述べた。 環境省によると、近年は入域料、協力金などの名称で利用者に負担を求めるケースが増えている。背景にあるのは、国立公園内の施設の老朽化や過剰利用(オーバーユース)だ。施設を管理する自治体などが徴収し、トイレや木道、登山道の維持管理、希少な生物の保護といった目的に使われている。2015年4月施行の「地域自然資産法」で、自治体が計画を策定して入域料を徴収する枠組みが初めて法律に位置付けられた。 寄付という位置付けで任意で支払ってもらうケースが多く、妙高山や火打山(新潟県妙高市)では1人500円の支払いを依頼している。北アルプスを中心とする中部山岳国立公園(通称・北アルプス)でも21年度から1口500円を徴収する実証実験を実施し、25年度以降の本格導入を目指している。富士山(山梨、静岡県)では任意の保全協力金(1000円)のほか、山梨県が条例で通行料(2000円)の支払いを義務化している。【山口智】