ピレリ、フェラーリと新フルウェットタイヤをテストへ。来季のF1導入目指す「パフォーマンス向上が目的」
ピレリは、新しいフルウエットタイヤを来季のF1導入を目指し、フランスのポール・リカール・サーキットでフェラーリと共に2日間のテストを実施することとなった。 【ギャラリー】FIA、フェラーリと共に雨用ホイールカバーをテスト at F1 このテストでは、2025年に向けてプロトタイプのスリックタイヤを1日目にドライ路面で使用し、新しいフルウエットタイヤを2日目にウエット路面で使用する予定だ。 ポール・リカールやイタリアのフィオラノといったサーキットは、人工的に路面を濡らすスプリンクラーが使用できるため、ウエットコンディションを作り出すためにピレリが雨乞いをする必要はない。 ピレリは昨年、タイヤウォーマーを必要としないフルウエットタイヤを投入したが、ダンプコンディション用のインターミディエイトタイヤに比べてパフォーマンスが大きく落ちるため、ドライバーからは不評だった。 さらにフルウエットタイヤを使用する場合は、視界を含め安全上の問題から赤旗が提示されるかどうか瀬戸際のコンディションであることが多く、必要性の問題が指摘された。 こうした背景から、ピレリは2025年に向けて新しいフルウエットタイヤの導入を目指している。 「テストは2日間ある。初日はドライのセッション。2日目は路面を濡らして行なう」 ピレリのチーフエンジニアであるシモーネ・ベッラは、テストの目的についてmotorsport.comにそう語った。 「ウエットとインターミディエイトの両方をテストするが、ウエットが優先だ。我々はパフォーマンスを向上させたいんだ」 「現時点でウエットはオーバーヒートに苦しんでいて、昨年我々が行なったタイヤウォーマー廃止によってパフォーマンスのデグラデーション(性能劣化)がかなり早かった」 「そこで我々は、トレッドパターンの動きを減らしてオーバーヒートの改善に取り組んでいるところだ」 「インターミディエイトについても、基本的には新しいコンパウンドを使用する計画がある。ウエットタイヤで実施したように、インターミディエイトでもタイヤウォーマーを廃止することが目標だ」 ピレリは、2025年開幕までにより堅牢なコンパウンドを用意することを目標としている。ただポール・リカールのテストで良い結果が得られた場合、より早い段階で導入することも完全には否定しなかった。 テスト1日目にピレリは、フェラーリと共に来季用タイヤを評価する。 「初日のスリックテストでは、主に来季のタイヤ構造を確定させることに集中している」とベッラは言う。 「しかしもっと重要なのは、C3、C4、C5をコンパウンドレベルでテストすることだ。C5をテストするのは今季初めてだと思う。次世代コンパウンドの結果を見るのは興味深い」 なおフェラーリは、エミリア・ロマーニャGPの前にFIAの要請を受けてフィオラノでウエット路面のテストを実施。こちらはタイヤではなく雨用ホイールカバーのテストだったが、満足の行く結果が得られなかった。
Filip Cleeren