「ワンランク上になれた」プロ1年目のオランダで正守護神を張った20歳・長田澪が明かす“進化の舞台裏”。「柔道をしていたのが良かった」【独占取材】
親元を離れて兄、妹とともにドイツでプレーする
フロンターレのスクール在籍時には「兄弟でキーパーにならないか?」と悠里もGKに誘われたという。 「俺は『GK、良いですよ』と言ってフロンターレのキーパースクールに入って、そこで基礎を学びました。お兄ちゃんはキッパリと『俺はフィールドプレーヤーになる』と言って断っていましたね」 妹の元U-14日本女子代表、長田莉奈(ドイツ名リナ・バックハウス)もJFAアカデミーからホッフェンハイムに渡り、昨年はU-17ドイツ女子代表として活躍した。日本に住むドイツ人の父、日本人の母はサッカーとはまったく関係がなかったのに、子ども3人は全員サッカー選手としてドイツに住んでいる。 「苦しいときに親は『辞めれば? 精一杯やってダメだったら、辞めてもいいじゃん』って言ってくれるんですよ。俺も『そっか、サッカーを止めるという選択肢もあるんだ』と安心する。仮に俺が『サッカーを止めてパティシエになる』って言い出したとしても、親が応援してくれるのは間違いない。あと、いつでも家族のもとに帰ることができるのは大きい。 俺は元々、13歳で早めに親元から離れたんで、他の家族のようにずっと一緒に成長してきたわけではない。お母さんも子どもが家からみんないなくなっちゃって辛かったと思う。それでも応援してくれて、何かあれば整えてくれるし、相談があれば聞いて手伝ってくれる。だから家族にはすごく感謝しています」 昨年末、新潟からスパルタに三戸が移籍してきた時、「中学から山口県宇部市の実家を離れ、JFAアカデミーに入って静岡に住み、プロとして新潟でプレーした。ずっと親元を離れているのは大きい。オランダに来ても少なくとも、僕はホームシックにかかることはないだろう」と言っていた。長田も小さなときに実家を離れたことがパーソナリティに影響しているのではないだろうか? 「はい、影響していると思います。自分ですべてを学んできました。例えば、人との付き合い方も自分風だし。家での過ごし方も、誰かのを見て学んだわけではなく、自分はこれがいいという過ごし方をしています。ピッチの外では自由な感じ。それも自分流かなと思っています」 4月16日、長田は20歳の誕生日を迎えた。ヨレル・ハト(18歳/アヤックス/DF)とともにシーズン終盤までフル出場を続けた長田は「ティーンエイジャーがずっと試合に出続けている。しかも長田はGKだ」とオランダ国内を騒がせた。 「“1”が前につく(=ティーンエイジャー)のと“2”が前につく(=20歳代)のとでは、サッカーの世界では若さ的にランクがすごく違うと思うんです。19歳で試合に出ているのと、20歳で試合に出ているのとでは感覚が違う」 それでも欧州1部リーグで“20歳の正守護神”はなかなかいない。さすがに「コンディションは最後まで良かったんですけれど、メンタルが疲れました」と苦笑した。
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