就任当初は部員7人、卓球部などから助っ人招集…新潟産業大・岡村宜城監督が11年目で辿り着いた全国大会
2014年に再結成された新潟産業大サッカー部が初の全国大会で大きなインパクトを残している。今季の北信越大学サッカーリーグで史上最高成績の3位になり、強化ラウンドからの参戦ではあるものの全日本大学サッカー選手権(インカレ)の出場切符を獲得。初戦で四国学院大を5-0で破る鮮烈なデビューを果たすと、第2節では後半アディショナルタイムに追いつかれる形となったが八戸学院大と2-2で引き分けて、自力でグループリーグを突破できる状況になった。 【写真】「美しすぎ」「めっちゃ可愛い」柴崎岳の妻・真野恵里菜さんがプライベートショット披露 チームを率いるのは現役時代にガンバ大阪などでプレーした岡村宜城監督。山口県出身で国見高と関西大を卒業し、現役引退後は初芝橋本高で監督を務めたという経歴の中、新潟産業大でサッカー部を立ち上げたのは初芝橋本での縁が理由だった。 「初芝橋本で一緒に仕事をしていた卓球部の顧問の先生が、たまたま自分が赴任する前に新潟産業大に赴任されていて『サッカー部を立ち上げる。お前何してんねん。暇やろ』というのがキッカケです」 新潟産業大にはもともとサッカー部が存在していたというが、岡村監督に話が届いた際にはすでに自然消滅していた。「グラウンドもない、ボールもない、ユニフォームもない。そこに惹かれて」とゼロからのスタートを新潟の地で切るも、14年の監督就任時の部員は7人。卓球部やバスケ部の学生に助っ人として参加してもらっていたといい、リーグ戦の控え選手が1人のみという試合もあった。 それでも岡村監督が長年過ごしてきた関西を中心に選手を集め、次第に力をつけてきた。現状ではトップレベルの選手は「絶対に来ない」という苦労もあるが、「上手い下手関係なしにうちでやりたいって言ったらめっちゃ素人な子とかでも取るので。ここに来て志を持ってサッカーやりたいという子やったら」と岡村監督。強豪大よりも試合に出場できる可能性や地域選抜に選出される可能性が高いことを示しながら、「うちらは自立と成長のためにサッカーをやっているチーム。もちろんプロに行きたい奴は目指せばいいし、そうじゃない子らも成長するための場でしょと常々言っている」というチーム作りで40人ほどの部員が集まっている。 なお現在岡村監督とともにベンチに座るのは、14年にバスケ部からの助っ人として選手登録されていた竹内拓海コーチ。サッカーにのめり込んで今ではスタッフとして共にインカレを戦うことになり、岡村監督は「良かったか悪かったか分からない(けど)繋がりですよね。縁とかですよね」と感慨深げに語った。 悲願の全国出場を果たす中、喜びと共に小規模体制ゆえの苦労もあった。茨城県で今月13日から17日にかけて行われている強化ラウンドを戦うためには莫大な予算がかかるため、選手自らがアルバイト先に寄付をお願いするなど奔走。岡村監督の関西大時代の同級生からも支援があったようで「快く色々な方が払ってくれました」と感謝を胸に晴れ舞台に臨んでいる。 そうして臨んだインカレはここまで負けなし。夏の関西遠征では強豪大の第3カテゴリーにも勝てず、監督にとっても「よう頑張ってんちゃいます?」とサプライズのようだ。「全国大会に出ることとプロを輩出すること。この2つは10年間で成し遂げたいなと思って今11年目」(岡村監督)。1年遅れる形となったがインカレ初出場を果たすと、Jクラブへ練習参加する選手も出ており勢いは増すばかりだ。 紆余曲折を経て到達した全国大会。岡村監督は「選手とはフランクで距離も近いし冗談も言う」関係性で日々を過ごす中、「自分が逆に成長させられているんじゃないのと思うんですよね」と強調する。 「自分は偉そうにするのが嫌なんですよ。スタッフにも言うんですよ。たしかにプロでやって色々高みも見ているし経験値もあるけど、やっぱり俺らも毎日学生から色々なことを教わっているからその感覚絶対忘れるなよって。これは絶対ブレない。何か間違ったことがあったら素直に自分らも謝るし、選手の意見も聞くし、怒るときは怒るし。そこがやっぱり大事」 選手たちは初の全国大会に緊張を感じながらも、大会屈指の良い雰囲気で試合に参戦している。次戦は勝てば強化ラウンド4強入りの状況で中央大と対戦。関東勢相手に明るいチームスタイルで真っ向勝負に挑む。