「変面ショー」で笑顔を届ける76歳の挑戦と情熱 マスクの裏に秘めた“支援”の心【長崎発】
長崎ランタンフェスティバルなどで高い人気を集める「変面」。瞬時に次々とマスクを変える「変面」に魅せられ、人の喜ぶ顔が見たいと自らも「変面ショー」を各地でボランティアで行う男性がいる。マスクの裏には意外な素顔が隠されていた。 【画像】東日本大震災の被災地を訪れた男性が「被災地に必要なもの」を考えた末につくったものとは
「変面」のとりこになった男性
2024年9月の敬老の日に合わせ、長崎市新大工町の祝賀会で「変面ショー」が開かれた。マスクを外したその素顔は、大村市に本社を置く産業廃棄物処理会社の矢敷環境保全の会長の矢敷和男さん(76)だ。 17歳のときに金属スクラップの会社を立ち上げ、一代で年商8億円を超える企業に成長させた。若いころから仕事にまい進してきた矢敷さんが15年ほど前に出会ったのが「変面」である。失敗しながらも独学で変面の技術を身に付けてきた。 矢敷和男さん: 失敗しながら習ったわけではないから。初ステージでうまくできて大喝采を受けてそれから病みつきですよ。 現在の衣装は変面のルーツ・中国の専門業者に注文をしている。マスクは頭の大きさや左右の目のバランスなど、演じる人に合わせて作る完全フルオーダーだ。細かい刺しゅうや装飾も施された本格的な衣装は、注文から届くまでに3カ月かかるという。 42年前から災害支援の活動を続けていて、そのきっかけとなったのが1982年7月23日の「長崎大水害」だった。水害の後に発生したゴミの撤去を矢敷さんの会社が請け負い、状況を目の当たりにしたことで「被災地に今必要なものは何か」考えるようになった。 阪神淡路大震災の時には約1万リットルの灯油を届けたり、東日本大震災では宮城・南三陸町に大手ゼネコンと共同で災害廃棄物を処理するための「焼却炉」を造った。 矢敷和男さん: 処理しないと病気が発生する、災害廃棄物は色々なものが混ざっているから、焼却したり埋め立てたりして急がないと二次災害につながる。自分の会社も大切だけど、廃棄物処理に携わっている関係で今までの経験を人助けといったらおこがましいけど、力になればという気持ち。
被災地に行けなくてもできる支援を
今、矢敷さんの思いは「能登」へと向かっている。矢敷さんが「変面ショー」で参加するチャリティーイベントが11月2日、長崎・佐世保市で開かれた。収益は2024年1月の大地震や豪雨災害に見舞われた能登半島の被災地に送られることになっている。 矢敷和男さん: 現地にもう年で行くことはできないけど、少ないけどボランティアで集まったものをお送りしていただければ。地元に残ってできるボランティア活動をこれからやっていきたい。 人の喜ぶ顔が見たい、そして被災地の力になりたい。マスクの裏には矢敷さんの人を大切に思う熱い心が隠されていた。 (テレビ長崎)
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