「子宮体がん」と「更年期」は症状が似ている? 早期発見のために、不正出血や下腹部痛、腰痛の放置は厳禁!
閉経前後は、生理周期や経血量にばらつきがみられ、ときには不正出血がおこることもあります。 【 表 】ホルモン補充療法(HRT) の治療薬 しかし、生理の様子がいつも違ったり、不正出血とともに別の症状が気になったりする場合はこわい病気のサインかもしれません。 そう話すのは、漢方製剤の研究開発を手掛けている碇純子さんです。 今回は、更年期の症状と間違いやすい「子宮体がん」について、見極め方と対処法を教えていただきます。
Q.最近、不正出血があります。ときにはかなり出血量が多いことも…閉経が近づいているせいでしょうか?
【A】 出血量がいつもよりも多いと、とてもこわいですよね。 不正出血の理由は複数ありますが、おっしゃる通り、閉経がひとつの理由です。 更年期は女性ホルモンの分泌が不安定になり、心身にさまざまな影響が出ますが、不正出血もよくみられる症状です。 通常は閉経後に収まりますが、あまりにも出血量が多い場合はHRT(閉経後女性ホルモン補充療法)などで対処します。 また、もともと月経量が多い方の場合は一度に排出しきれず、子宮や腟内に残った血が塊となって出ることもあります。
Q.不正出血の原因としてほかに考えられる病気はありますか?
【A】 不正出血がおこる原因に、「子宮体がん」があります。 卵管に繋がる袋状の部分を子宮体部といいますが、その部位にがんが発生するのが子宮体がんです。 更年期世代の50~60代に多い病気で、月経ではない時期にも不正出血がみられる場合は子宮体がんの可能性があり、注意が必要です。 そのほかの自覚症状としては、下腹部痛や腰痛、排尿・性交時の痛み、おなかの張りなどが挙げられます。 更年期症状に似ている部分もありますが、閉経後になっても出血がある場合は子宮体がんの可能性があります。 子宮体がんは、女性ホルモンのエストロゲンが関わっている場合が多く、「子宮内膜増殖症」から発症することもある病気です。また、一部には女性ホルモンとは関係なく発症する例もあります。 そのほかに考えられる病気としては、子宮筋腫、子宮内膜ポリープなどが挙げられます。
Q.子宮体がんを早期発見するにはどうしたらいいですか?
【A】 不正出血などの自覚症状があり、子宮体がんが疑われる場合、まずは婦人科を受診しましょう。 問診では、具体的な症状を伝えて下さい。不正出血や過多月経の状態、月経周期、おりものの異常の有無、そのほか気になることがある場合はすべて伝えましょう。 問診のあと、内診や子宮内膜の細胞や組織を採取して行う細胞診、組織診などの病理検査を行います。腟内だけでなく直腸診を行う場合もあり、検査によってはやや痛みを伴う場合もあります。 そのほかの検査は、子宮鏡検査、エコーやCT・MRI検査などです。 子宮体がんと診断された場合、進行の程度によって、手術、薬物療法、放射線治療、緩和ケアなどの治療方法が検討されます。 つづきの【後編】では、更年期からくる不正出血の場合はどのように対処方法やおすすめの漢方薬についてお話を伺います。
あんしん漢方/薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師 碇 純子