福岡大大濠7回コールド発進 平川絢翔「意識していた」あと1球で“7回完全試合”も…/福岡
<高校野球福岡大会:福岡大大濠7-0輝翔館中教校(7回コールド)◇2日◇2回戦◇春日 あぁ…惜しかった。福岡大会1、2回戦が計6試合行われ、優勝候補の福岡大大濠は7回コールド勝ちで初戦突破を決めた。先発の平川絢翔投手(3年)が7回参考記録ながら完全試合を目前で逃すも、2安打無失点の快投。自己最速タイの146キロをマークし、2回以降は毎回の計10奪三振と圧倒した。 ◇ ◇ ◇ たった1球に悔いが残る。平川の表情がそのすべてを物語っていた。 「正直、意識していた。悔しかった…」 7-0で迎えた7回2死。参考記録ながら完全試合の快挙まであと1人だった。しかもカウント1-2。3球で追い込み、法村航輝捕手(3年)はスライダーで空振りを取るイメージを描いていた。だが、平川はサインに首を振った。決め球に直球勝負を選択するも、打者21人目にして初安打を許した。「お前のサイン通りに投げておけば空振りやったな」。試合後、女房役にそう声をかけた。 最後は2死二、三塁と走者を背負うも、この日10個目の三振で締めくくった。7回84球を投じ、無死四球の2安打無失点と文句なしだ。八木啓伸監督(46)も目を丸くする。「思ったよりも良かった。テンポ良く、ストライク先行で投げてくれました」。以前は制球を乱すシーンもあったが、夏本番に向けて改善。練習から内外角へのボール1個分の出し入れにこだわってきた。 悔しさもある。昨夏は背番号14でベンチ入り。星琳との4回戦に2番手で登板。結果は0回1/3を2安打3失点。チームも敗れ、あまりにも早すぎる終戦だった。当時を「今でも忘れてはいない。野球をやってきて初めて泣いた日」と雪辱を胸に刻んでいる。 毎年のように優勝候補に挙げられる強豪も、夏は89年を最後に甲子園から遠ざかる。「悔しい思いをしてきている」とナインの思いを代弁。「チームに勢いがつく投球はできた。1戦1戦を勝ち上がっていく」。今年こそ戦国・福岡の頂点に立ち、威信を取り戻す。【佐藤究】 ◆平川絢翔(ひらかわ・あやと)2007年(平19)3月14日、佐賀県佐賀市出身。小2で野球を始め、吉野ケ里三田川中では佐賀ビクトリーに所属。福岡大大濠では1年秋に初のベンチ入り。憧れのプロ野球選手はドジャース大谷翔平。50メートル走6秒6、遠投100メートル。183センチ、80キロ。右投げ右打ち。