架線柱の倒壊や線路冠水……相次いだ鉄道トラブル 安全対策は?
2015年は首都圏でさまざまな鉄道トラブルが起きました。4月12日には、山手線・京浜東北線の神田駅~秋葉原駅間で架線柱が倒壊し、復旧に1日を要しました。このトラブルの影響は他路線にも波及し、首都圏の交通は大混乱しました。8月4日には、横浜市内で京浜東北線の架線が切断するトラブルが発生。近隣で花火大会が開催されていたこともあって、35万人の足に影響が出たといわれています。 【図】JR東日本「上野東京ライン」で変わる2015年首都圏輸送ネットワーク 11月30日には、山手線の新型車両235系がデビュー初日に不具合を連発し、翌日からは運行を見合わせています。12月に入ってからもトラブルは止まりません。2日には、JR横浜線の夜間工事で架線柱が倒壊して、翌朝のダイヤが大幅に乱れました。6日には、JR横須賀線では東京駅~新橋駅間で排水ポンプの故障から線路が冠水。運転を見合わせています。
「輸送障害」の件数は目立って増えず
国土交通省では、鉄道の遅延トラブルなどを「輸送障害」と呼んでいます。輸送障害の発生件数は集計されており、それらは毎年5000件前後発生しています。件数は微増傾向にありますが、今年が目立って多いわけではないようです。 それなのに遅延トラブルが多いと感じてしまうのは、東京圏の鉄道の相互直通運転が拡大したことにあります。一部の区間で列車が遅延すると、それが乗り入れしている路線に波及するからです。 一例としては、2015年3月に開通した上野東京ラインが挙げられます。上野東京ラインは高崎線・宇都宮線・常磐線と東海道本線との線路がつながったことから相互直通運転を開始しました。直通運転によって、東海道本線の熱海駅で遅延トラブルが発生したときに、群馬県の高崎駅で影響を受けてしまいます。このように、相互直通運転の拡大は、一見すると関係のないところにも影響を及ぼしてしまうのです。乗り換えの手間はなくなりましたが、その代償が遅延の発生といえます。 複雑化する相互直通運転が招く遅延トラブルについて、国土交通省鉄道局都市鉄道課は「有識者会議を設置して対策を協議していています。まだ、方針を示す段階ではありません」といいます。