「男性機能改善」をうたう健康食品で腹上死!! 突然死する可能性がある人が抱える疾患とは
「お茶で血圧が下がるなら薬を飲む前に試してみようか」「健康食品でダイエットできるならそれがいちばん楽でしょう」「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」などと、健康食品はすっかりわれわれの生活に浸透している。 【続き】知らずにとりすぎて重篤な障害を引き起こす健康食品 しかし実は、健康食品では機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品で発生している。ならばどんな健康食品を使えばいいか、使いたければ自身で見分ける目が必要である。そのため健康食品で被害に遭わないための基礎知識をさまざまな事例を通してわかりやすく解説した著書『健康食品で死んではいけない』より連載形式で紹介する。
男性機能改善をめざしたら腹上死
中高年の男性の中には、性行為のときの勃起不全に悩んでいる人が少なからずいる。そうした男性を元気づけるためのマムシドリンク、マカエキス、ニンニクエキスのような健康食品は古くからある。 そんな長年の問題を解決するかなり画期的な医薬品が開発された。バイアグラ(シルデナフィル)である。ところが1998年3月末に米国で初めて販売されてのち、わずか7月までのあいだに123人の死亡報告がFDA(食品医薬品局)に寄せられる。そのうちの18例は性行為中のいわゆる腹上死であった。 FDAはことの重大さにその死因をつぶさに調べた。その結果、もともと心血管系のリスクの高い人が性行為を行って死亡していたと判明。ニトログリセリンのような併用禁忌の薬を使用中にバイアグラを服用していたことも明らかになった。一方この調査によって、使い方を守れば危険性はほとんどないと判明した。
心血管系に問題のある人は要注意
医薬品として確かに効果があるこのバイアグラを、健康食品に混入させて摘発を受ける悪徳業者が全世界で後を絶たない。勃起不全を改善する製品は比較的高く売れるから、健康食品の世界でも重要な位置を占めている。 日本国内で現在市場に出ている医薬品には、バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)の3種類がある。健康食品に混入されているのも大体この3つのうちのどれかである。 そこで問題となるのは前述のように、心血管系に問題のある人や、そのためにニトログリセリンを使用している人は、下手をすると突然死するかもしれないということ。また突然、心停止やその一歩手前の状態になったとき、その原因がもし健康食品に入っていたバイアグラだったとしたら、それを知らないまま救急処置を行う医師によってニトログリセリンが投与されれば、本当に心停止が起こってしまう可能性がある。したがって、勃起不全に効果があるとうたっている健康食品には十分注意が必要である。 続きは<体に必須のミネラルだが、健康食品で知らずにとりすぎて重篤な障害が起きている>で公開中。
長村 洋一(一般社団法人日本食品安全協会代表理事)