シティ・ポップの次なるブームを「杏里」が牽引 竹内まりややユーミンを抑えた“世界でいちばんの人気曲”は、まさかの「シングルB面」だった!
2010年代後半から、音楽ストリーミングサービスの普及によって各国の楽曲が気軽に聴けるようになり、今や世界的な人気となった日本のシティ・ポップ。ここ数年でも、松原みき「真夜中のドア~stay with me」、竹内まりや「プラスティック・ラブ」、泰葉「フライディ・チャイナタウン」など昭和の楽曲が次々とヒットを飛ばしており、24年12月20日現在、Spotifyにおける累計再生回数は、それぞれ約3億5,600万回、8,400万回、6,900万回にものぼる。そして’25年に向けて、さらに大きな広がりを見せているのが杏里の楽曲だ。 【画像】“日本よりアメリカのリスナーの方が多い”という「杏里 Spotify再生回数ランキング」ほか
杏里の月間リスナー数はサザンや竹内まりや、ユーミン越え! 脅威の海外人気
杏里と言えば、同名アニメのタイアップ曲として大ヒットした「CAT'S EYE」(' 83年)、カラオケの定番曲として親しまれている「悲しみがとまらない」(’83年)、デビュー作の「オリビアを聴きながら」(’78年)といった人気曲があり、なおかつ平成初期には、オリジナル・アルバムが4作連続で累計60万枚を超えるヒットを収めている。50代以上の日本人なら、ほとんどの人が知っているだろう。 今でも現役アーティストとして精力的にライブを行っているものの、CDセールスとしては、’00年代後半からひと段落ついたことで、彼女に対し“かつてヒットしていた歌手”というイメージを持つ人もいるかもしれない。 しかし、「主なベテラン・アーティストのSpotify月間リスナー人数」の一覧表を見ると、彼女が決して“過去の人”ではないことがわかる。なんと杏里の’24年12月時点における月間リスナー数は約160.7万人で、今でも日本のヒットチャートの常連であるサザンオールスターズ(149.3万人)や竹内まりや(149.0万人)、松任谷由実(113.4万人)よりも多いのだ。
しかも、杏里の月間リスナーは’19年の頭から右肩上がりで増加し始め、’22年後半には100万人を突破、’24年の夏頃は190万人に迫るまでになったという。つまり、ずっとファンを増やしつつ、今夏からいったんその勢いが落ち着いてもなお、160万人を超えているのだ。 これは紛れもなく、冒頭のシティ・ポップ・ブームの影響だが、考えてみたら、杏里の明るい歌声や煌(きら)めくサウンドは、まさにシティ・ポップの中心的存在で、世界中のリスナーが放っておくわけがなかった。 実際、杏里の中でもここ数年で人気が急増している楽曲は、9割以上が海外リスナーだ(ちなみに、もともと人気だった「CAT'S EYE(シングル・バージョン)」では約2割にとどまっている)。上位国のTOP5は、アメリカ、日本、インドネシア、メキシコ、ブラジル。Spotifyの担当者によると、このTOP5のラインナップはシティ・ポップ全体に共通するそうだが、杏里の場合「アメリカのリスナー数が日本のそれを上回っているのが特筆すべき現象」とのこと。しかも、海外リスナーの約8割が30代以下となっており、彼らの多くが、日本で杏里がシングルやアルバムでメガヒットを飛ばしていたことをリアルタイムでは知らないということになる。