登校しぶり、医療的ケア、息子たちのケアで仕事を続けられなくなった夫婦。「居場所を作りたい」フリースクールを立ち上げた父の思い
千葉県在住の三村晋也さんと晃子さん夫婦は、長男の春人くん(8歳)と、二男の康介くん(6歳)の4人家族です。 【画像】誕生して間もないころの康介くん 二男の康介くんは生まれて間もないころから重症心身障害を抱えており、24時間の医療的ケアが必要なため、晃子さんは仕事を辞めました。そんな中、長男の春人くんの登校しぶりが始まり、晃子さんは毎日つき添って一緒に学校へ行くことに。晋也さんは康介くんの育児のために休職したのち、退職を決断することになりました。 そんな状況から、晋也さんは障害や不登校など課題を抱える子どもたちとその家族がともに暮らしやすい社会をめざして「フリースクールオリコス」を立ち上げました。インタビュー後編では、フリースクールを立ち上げたきっかけや、その背景にある思いを聞きました。
1年間の休職をきっかけにフリースクールの立ち上げを決意
長男の春人くんの登校しぶりにより、晃子さんがつき添い登校を始めたことから、晋也さんは弟の康介くんの育児をするため教員の仕事を1年間休職、そして退職を決断します。休職中に今後の仕事について考え、出た答えが“フリースクール”だったそう。 「転職先や家庭教師などオンラインでできる仕事を探してみたこともあったのですが、結局下の子のケアで休んだり途中抜けたりすることを考えると、どれもむずかしいなと…。 春人を学校に行かせないと家庭が成り立たないという状況を解決するために、最初はホームスクーリング(学校に通学せず、家庭で学習を行うこと)なども考えましたが、それもやはり下の子のケアがある中ではきびしいと思いました。 フリースクールを探しても、私の住む地域で通えるところがない。それじゃあ自分で立ち上げてみよう、という感じでした。自分でやれば、自分の好きな場所で好きな時間にできる。それがいちばんじゃないかと。 フリースクールを立ち上げようと決めてから、不登校についても調べていました。そのとき自分と同じように、不登校児を抱えながら思うように働けない親が多くいることを知りました。そこで、保護者のサポートもできるフリースクールをつくってみたいと思ったんです」(晋也さん)